アジア株週間トピックス 2023年11月27日号
2023.11.27 (月)
インドネシアが11月23日に金融政策員会を開催
インドネシアは政策金利を据え置き
11月23日、インドネシア金融政策委員会が開催され、市場予想通り政策金利の据え置が発表されました。この決定により政策金利は6.0%に据え置きとなります。国内のCPI(消費者物価指数)は直近は比較的落ち着いていますが、政府はルピア相場の不安定な動きなどを警戒しているため、利下げには踏み切れないようです。
高金利は企業や個人の消費活動にとって負担になるため、インドネシア経済が本格回復を目指す上で、大きな重石となりそうです。
また11月22日には、シャフルル・ヤシン・リンポ前農業相を恐喝したとして、汚職撲滅委員会(KPK)トップのフィルリ・バフリ委員長を容疑者認定しました。汚職撲滅委員会といえば、取り締まる立場「法の番人」であり、政府に対する信頼失墜は避けられません。フィルリ容疑者は、農業省に絡む汚職事件の捜査で、捜査にたなごころを加える見返りとしてシャフルル氏に対して金品を要求したとみられています。
インドネシアなどアジア新興国はもともと汚職の多い体質ですが、「法の番人」トップの容疑者認定は、今後の政局、大統領選挙にも悪影響を与えそうです。
トルコは政策金利5%利上げを発表
利上げ後のトルコ政策金利は40%に
アジアではありませんが、トルコが11月23日に金融政策委員会を実施、5%の利上げを発表しました。トルコは機動的に政策金利を変更する国ですが、利上げ後の政策金利40%は統計を取り始めて以来最大です。政策金利=銀行金利ではありませんが、仮に40%の銀行金利で計算すると、複利計算で、5年で現金が5.38倍になるということになります。日本からみれば夢のような数字ですが、反面いろんな不具合があると思われます。
その一つが物価です。11月3日に発表された2023年10月のCPIは、最悪期よりは若干鈍化しているものの、前年同月比61.36%と高水準でした。高金利、高インフレのなかでトルコは厳しい政策運営を迫られています。
トルコ・リラは「フラジャイル5」のひとつ
なお、2016年3月に「フラジャイル5」が話題になった時期がありました。「フラジャイル5」とはモルガン・スタンレーが命名した用語で、経常赤字国で世界的に脆弱とされている主要5か国の通貨をしたものです。5か国は「ブラジル」「インド」「トルコ」「インドネシア」「南アフリカ」でいずれも景気悪化、高インフレになりやすい傾向がある国とされています。トルコ・リラはそのうちの一つで、実際2022年の年間経常赤字額は484.1億米ドルと、巨額赤字に苦しめられています。
今回は通貨リラの下落を食い止めるべく、金利を大幅に引き上げましたが、経済を根本的に立て直さない限り、脆弱通貨というレッテルはなかなか払しょくできないと思われ、当面、トルコ経済、通貨の苦境が続きそうです。
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