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ザ 語源 第32回 アジア四小龍 国名の由来

2024.02.22 (木)

アイザワ証券 ファイナンシャルアドバイザリー本部

飯田 裕康

ザ 語源 第32回 アジア四小龍 国名の由来

当社ではアジア各国の市場の取引が出来ます。具体的には香港・上海・深圳・台湾・韓国・シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム・イスラエルの計12市場です。

今回より3回にわけてアジア各国の国名の由来について解説して参ろうと思います。1回目は「アジア四小龍」と呼ばれる韓国、香港、台湾、シンガポールの国名の由来の解説です。

アジア四小龍

アジア四小龍とは、1960年頃から1990年頃までに著しい経済成長を遂げた韓国、香港、台湾、シンガポールの4つの経済地域のことです。1973までに年率10%の勢いで高度経済成長を遂げた日本を「大龍」ととらえ、この4つの地域を「小龍」とし「アジア四小龍」と名付けられました。

韓国

正式名称は「大韓民国」です。国として樹立宣言を行ったのは1948年です。日本でも韓国の国境北部に位置する「北朝鮮」に対し、昭和中期までは韓国のことを「南朝鮮」と呼んでいたケースもありましたが現在では「韓国」で統一されています。

「韓国」という国名については「北朝鮮」との国名の違いを明確にしたかったという経緯があるのではないかと考えられています。「韓国」という国名は紀元前2世紀~4世紀中頃まで朝鮮半島南部に存在していた「三韓」と呼ばれる部族連合が由来の一つとみられています。「三韓」は西から「馬韓」、「弁韓」、「辰韓」の3つの部族連合から形成されていました。4世紀より「馬韓」は「百済(読み)ペクチェ」、「弁韓」は「伽耶(読み)カヤ」、「辰韓」は「新羅(読み)シンラ」にそれぞれ発展しました。また「韓国」の「韓」という漢字には「強大」という意味があり、こちらも国名の由来の一つとも考えられています。

「韓国」の英語表記である「コリア(Korea)」は10世紀前半から15世紀末まで朝鮮半島で栄えた王朝「高麗(読み)コリョ」が有力な語源です。

香港

「香港」は大英帝国の支配から1997年に元の中国に返還され、中国の特別行政区として現在に至っています。「香港」は中国古代より貿易港として栄え、現在は貿易に加え、観光、金融の中心都市として繁栄しています。

「香港」の語源は文字通り「香りの港」で、交易のため港に集積された香木(こうぼく)がその由来とされています。

台湾

「中華民国」が「台湾」の正式名称であり、「台湾」は通称です。「中華民国」は中国国民党が率いて元々中国大陸で成立しました。しかし太平洋戦争を挟み中国共産党と雌雄を決する国共内戦において敗北し、中国大陸から放逐されることを余儀なくされました。中国国民党率いる「中華民国」は台湾島に逃れ台湾島を実行支配することになり、「中華民国」イコール「台湾」となったという経緯があります。

「台湾」の語源は所説あります。台湾原住民が17世紀頃より台湾島に開拓者として来た外国人を「来訪者」、現地語で「タイオワン」と呼んだのを来訪した外国人が「タイワン」と呼ぶようになったというのが有力な説の1つです。

シンガポール

「シンガポール」はマレー半島の最南端に位置する都市国家です。国土面積は小さく東京都区部(23区)の面積のより1割強大きい程度です。建国の歴史は比較的浅く「シンガポール共和国」として独立したのは1965年と建国60年弱の若い国家です。

「シンガポール」の国名の由来は古代インドの言語であるサンスクリット語の「ライオンの町」ではないかと見られています。サンスクリット語でライオンのことを「シンハ」、町のことを「プーラ」と呼び、その昔、現在のシンガポールを訪れたインド人がこの地にライオンがいるのを見かけ「シンガープラ」と呼称するようになったという言い伝えがあります。その後、この地を植民地化した英国が英語風に「シンガポール」にしたということです。但し東南アジアのどこを探しても当時野生の「ライオン」は生息していなかったのでこの説を疑問視する見方もあります。

因みに日本でも「ライオン」のことを「獅子」といいますが、「シンガポール」と同じくサンスクリット語の「シンハ」が語源です。

アジア四小龍の1人あたりGDP

以上アジアの4つの経済地域について簡単な歴史と国名の由来をみてまいりましたが、ここで4つの経済地域が日本と比較してどのくらいの経済発展に達しているのか1人あたりGDP(国内総生産)の推移をグラフにまとめてみました。

アジア5地域の1人あたりGDP推移

日本が1995年から30年間近く停滞しているのを尻目に四小龍は右肩上がりに成長していることがわかります。シンガポールに至っては日本の2.4倍の実績です。ただこのデータは米ドル換算であって2012年末から開始されたアベノミクス(大規模金融緩和政策)によって日本円はドルに対し大幅に安く評価されています(購買力平価で1ドル100円:OECD2021年より)。従って実際のドル換算より日本円は購買力があるとしてアジア四小龍を含め購買力平価換算(米ドル)で比較し直してみました

1人あたりのGDP

残念ながら日本の1人あたりGDPはアジア四小龍と比較し最下位となり、シンガポールとの差は約2.6倍に広がりました。

もはや「四小龍」ではなく「四大龍」という名称がこの4地域に相応しいと言えると思います。日本は「1億総中流」から「1億総中龍」になってしまったのかも知れません。

本記事で解説する内容について、実際の言葉の成り立ちや、一般的とされる説と異なる場合がございます。

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ライター

飯田 裕康

アイザワ証券 ファイナンシャルアドバイザリー本部

飯田 裕康

1991年アイザワ証券入社。2002年まで支店のリテール営業を務め、2003年からは支店長として関西方面中心に4つの新店舗を開設。2012年の投資リサーチセンター(現市場情報部)センター長、2018年のインターネット取引部門長、2021年の投資顧問本部長等を経て、現在は西日本ファイナンシャルアドバイザリーを担当。

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