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投資のコンシェルジュ 第6回 S&P500/日経平均/ドル円市場の見通し(番外編)

2022.04.11 (月)

アイザワ証券 事業推進部

河西 幸弘

投資のコンシェルジュ 第6回 S&P500/日経平均/ドル円市場の見通し(番外編)

  日米株価&ドル円市場の行方《2022年4月上旬~5月上旬》

202247日 現在)

5月上旬へ向けた焦点は、ロシア進軍の不確定要素を除いて2つを視野に。

一つは、54日発表の米金融政策決定会合(FOMC)の結果。米金融政策は、短期金利・米国債利回り上昇と株価下落で、市場は、概ね織り込みを進めており、逆に、結果発表後は株価反転への障害となり難いか。

もう一つは、4月中旬以降の米国及び日本の企業決算。日米とも、新型コロナ感染拡大及びロシア進軍という読みづらい中で前回決算時の利益見通しを保守的にしているとみられ、結果、上振れとなれば、2021年高値へ向けた上昇を予想。

5月上旬の予想レンジは、①NYダウ:36,700ドル、②S&P5004,850p、③NASDAQ15,950p、④日経平均:30,550円、⑤ドル円:125.80円、の各水準。強気にみえるが、N字①②、V字③④(押し幅予想に基づく)の各計算値、⑤は20156月高値と同水準。

53日~4日の米FOMCへ向け、ブラックアウト前の422日(金)まで、米FRB理事の講演やインタビュー時に金融政策の見通しに関する発言が相次ぐ。322日にはパウエル議長が0.5%利上げに、45日、ブレイナード副議長は就任後初の講演でFRBの資産売却の開始に言及。46日には、フィラデルフィア地区連銀・ハーカー総裁が資産売却に、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁が0.5%利上げに触れ、同日公表の3FOMC議事要旨では「FRB保有資産950億ドル/月の圧縮」議論の存在が明らかに。金融市場から資金を引き揚げる「金融引き締め」への政策総動員を受け、NASDAQ2%を超えて下げるなど、株式市場は再びその逆風を受け止めざるを得ない状況。

ただ、想定されるタカ派政策のおよそ全てが示され、それを織り込んだ後の株価反騰局面では、同政策への耐性はかなり高まっているはず。各株価指数で達成した昨年来の高値から20223月安値までの「半値戻し」が暗示する「全値(高値)戻し」へ向けた素地は整いつつあるとみる。

一方で、株価の高値トライには、やはり、企業業績の伸長が必要。S&P500利益成長(前年同期比、予想)は、2021+56%(四半期毎の平均)から2022年は+8%(同)と、基調は増益ながらベース効果から見た目の伸び率低下は否めない。

ただ、新型コロナ、ロシア進軍と、先行き計れない要素に対し、各企業が予想は保守的、実績で上方修正、という戦略をとっている可能性はある。実際、一部調査機関では、20221‐3月利益予想を2021年末時点の見通しより下方修正するが、2022年通期では上方修正、という傾向がみられるという。

現状(4/6)のS&P500利益予想+4.7%をボトムとし、特に高成長・テック系企業の先行きへのポジティブ・サプライズの程度が「全値戻し」へのカギになろう。

日経平均では、ドル円で120円を超える円安がどの程度の輸出企業の利益上振れにつながるか、30,000円奪回への足掛かりとして注目される。

ドル円は「黒田ライン」と呼ぶ125円を一瞬上回った(3/28)。岸田首相と黒田日銀総裁の会談が行われる(3/30)など、政府要人の牽制発言は、やはりみられたが、2015年当時と違い、日米の金利差拡大、資源高等による経常赤字に加え地政学的にも円安の方向性は明確。また、一瞬でも黒田ライン超えを許したことは、それが絶対的な水準でない、ことを示唆するとみる。

5月上旬までならば125円台を上値、下限を121円台としたレンジ形成を想定するが、いずれ、政策が国内への生産回帰を促して円安メリットを享受できる構造転換が完了、日本が強靭に生まれ変わるまで、長期に渡り、強い円安トレンドが続くと考える。

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ライター

河西 幸弘

アイザワ証券 事業推進部

河西 幸弘

国内大手の証券・保険会社において、リテール、事業法人、機関投資家等への金融商品の営業を、大手運用会社では15年に渡りRM(リレーション・マネジメント)等を経験。その間、証券アナリスト(CMA)、日本FP協会(CFP)、1級FP技能士等の資格を取得。そして、2021年4月、アイザワ証券入社。事業推進部において投資信託や債券等のストラテジックな商品提案を推進する一方、難解な金融市場の「分かりやすい」解説に挑む。

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