China Market Eye 春節中国の中国消費動向
2024.02.28 (水)
春節中国の中国消費動向
春節中の上海市繁華街・南京西路の様子
春節期間終了後に中国当局から発表された統計によると、8日間の春節(旧正月)期間中の国内観光収入及び観光客数は、前年比47%増の6,327億元、34%増の延べ4.74億人と、ともに過去最高を記録しました。コロナ前の2019年に比べても、それぞれ19%増、8%増となっています。また、春節中の映画興行収入と海南離島免税店販売収入はそれぞれ80億元、25億元と過去最高記録を更新し、予想を上回るペースでの消費回復を伺わせています。
中国の鉄道旅客数(月次)
その背景には、ゼロ・コロナ政策の解除に伴って、観光や帰省など域内の人の移動が活発化したことが主因として上げられます。例えば、1月の鉄道旅客者数は3.3億人と2022年1月の1.38倍、コロナ前の2019年をも15%上回っています。
また、鉄道大手、北京上海高速鉄道(上海:601816)の業績見通しによると、2023年の純利益は昨年の大赤字から一転し、2019年の過去最高益に迫る数字になると予想されています。
航空フライトについて、国内線は既に2019年を大きく上回るペースまで復調していますが、その一方、国際線の旅客者数数は2019年の7割程度にとどまっています。中国旅行者に対するビザ申請の簡素化などを背景に着実に回復傾向を辿っていますがまだ完全復活とはいえない状況です。
中国の航空フライト数(日次)
また消費動向については、モノよりもレジャーや旅行など体験型サービスにシフトする傾向が続いています。物流・人的の域内循環の活発化に加えて、自家用車の利用などが増えたことで消費の強靭性が高まっています。
住宅市場は低迷傾向が依然続いているものの、ローン金利の低下などに刺激されて一部の都市に中古物件の取引が持ち直しつつある傾向を見せています。その反面、雇用・所得見通しの不透明性から消費者の節約志向を反映して、旅行支出の客単価は2019年の9割強程度にとどまっており、映画チケットも若干下落傾向です。消費活動の回復は、まだら模様といえるでしょう。
2024年の中国経済の方向性を占う上で春節中の消費動向は大きな意味を持ちます。約3年間のコロナ禍を経て、中国の家計はバランスシートの調整を強いられ、予備性の超過貯蓄は30兆元近く(約600兆円)にまで積みあがっています。ここにきて家計預貯金の伸び率はようやく平常時の水準にまで下がり始めていることは、中国経済にとって大きな朗報です。また、2024年1月の個人向け中⾧期ローンは大きく伸びており、コアCPI(消費者物価)が前月比で上昇していることからみても、貯蓄志向は減退、消費需要は回復傾向にあるといえるでしょう。
2024年の中国経済が自律回復を果たすためには個人消費が重要なポイントとなりそうです。政策パッケージに対する信認が高まりそれに伴って消費者のコンフィデンスが回復、倹約・貯蓄志向が低下していく、という良い循環になることが重要と思われます。
中国の家計部門の預貯金残高(月次)
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