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亜州潮流 コロナ禍後に変わったアジア市場の勢力図

2024.03.11 (月)

アイザワ証券

市場情報部

亜州潮流 コロナ禍後に変わったアジア市場の勢力図

当記事は2024年3月11日発行「アイザワ・グローバルマンスリー3月号」より抜粋しております。
「アイザワ・グローバルマンスリー」は「投資情報サイト」へ掲載しております。

コロナ禍後に変わったアジア市場の勢力図

2月22日、日経平均株価は1989年12月29日につけた史上最高値を34年ぶりに更新した。日本のバブル崩壊以降、アジア株式市場では途上国への産業移転や中国のWTO加盟を背景に中国・香港のプレゼンスが急速に高まったが、コロナ禍後から様変わりした世界情勢を受けて日本の復調とインドの台頭が目立っている。

コロナ禍前後のアジア主要市場の時価総額を見てみると、中国(本土)の時価総額は2021年の約13兆ドルから現在の8.5兆ドルへと大きく減少したほか、香港の時価総額も今年1月にインドに一時抜かれるなど減少傾向が続いた(下図参照)。

その主な要因として、①中国当局によるITや教育、ゲーム産業への規制、ゼロコロナ政策投資家の信頼感低下)、②不動産危機と雇用不安需要不足・デフレリスク、③米国とその同盟国による対中輸出規制と「中国外し」(デリスキング)などが考えられる。

中国・香港市場の低迷は同時に他の市場への資金シフトを促す契機になった。米国が推進するサプライチェーン再構築で恩恵を受ける日本とインドの時価総額は大きく膨れ上がり、AIに使われる半導体の受託製造を手掛けるTSMC(台湾2330はアジア個別企業の時価総額トップに躍り出た下図参照)。

現状、日経平均株価のPER(指数ベースとインドSENSEX指数のPERは両方とも20倍超と割安とは言えないが、中国経済の低迷が長引けばアジア株式市場の勢力図が塗り替わる可能性も十分に考えられよう。中国・香港市場が投資家から見直されるためには、不動産危機の軟着陸に加え、政府の規制緩和と欧米の技術障壁を打破できるような高付加価値企業が必要不可欠で、これらの難題を乗り越えるまで本格的な回復は難しいかもしれない。

株式投資は過去の状況よりも今後の期待のほうが重要だ。インバウンドや国内での工場新設、賃上げ、日経平均過去最高値更新などの明るい材料が続々と出ている日本の現状を踏まえれば、米国の経済情勢や外交政策に大きな変化が生じない限り、アジア株式市場の地殻変動は当面続くのではなかろうか。

※「亜州潮流」はアジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。

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