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亜州潮流 中国のETFブーム

2024.12.30 (月)

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亜州潮流 中国のETFブーム

中国のETFブーム

中国株式市場では、ETF(上場投資信託)に大規模な資金流入が続いている。国内統計によると、1115日の時点で中国市場全体のETF1000本を超え、その純資産は3.67兆元(約77兆円)とそれぞれ10年前(2014年)のおよそ10倍と20倍になった。その80%以上はCSI300指数や上海50指数など主要株価指数に連動する株式型ETFで、ETFを通じた新規資金流入は9月以来の本土株上昇をもたらす要因とも推察される。中国本土株は11月にかけて調整気味となったにも拘らず、11月に新規設定した投資信託は1,472億元を募集し、そのうちETFを中心とした株式指数連動型投信が全体の7割強を占める約1,037億元と月間として過去最高を更新した。ETFに人気が集まった結果、ETFの純資産は11月で初めてアクティブ型株式ファンドの純資産を超えるようになった。

ETF投資が中国で人気を集めた背景として以下のことが考えられる。まず、当局は利下げや財政出動、債務再編など多くの措置を講じるなどデフレ退治を本格化させており、低迷した市場センチメントはリスクオンに転換しつつある。次に、当局は今年4月に資本市場を活性化するための「新9条」を公表し、ETFの新設・募集を迅速に承認するなどインデックス投資を促進する市場環境を整えた。その結果、個人投資家のみならず、保険や年金など機関投資家もETFを利用した投資比率を高めてきた。そして、本土市場では過去3年間、90%以上のアクティブ型株式ファンドの運用成績はCSI300指数及び上海総合指数に勝てなかったことが調査でわかった。これを受けて、投資家は透明性が高く投資コストも安いインデックス投資(ETF)に目を向けるようになっている。投信会社はテクノロジー企業や新技術、高配当などに焦点を合わした多彩なETF商品を開発しているほか、個人投資家は銀行窓口だけでなく広く普及している金融アプリ「アリペイ」や「Wechat」でも気軽に購入でき、ETFを通じてホットなテーマ投資に参加できるようになった。例えば中国大手投信会社の華夏基金では各業界や投資テーマをカバーする88本の株式型ETF投信(純資産は約5,000億元)を開発・販売している(写真参照)。

[写真]上海市内で行われた投信大手の投資家向けETF新商品説明会

中国本土市場は長らく個人投資家が主導する投機市場と言われてきた。最近のETFブームは個人投資家の投資理念が大きく変化したというのはまだ早すぎるかもしれないが、ETF投資は幅広く浸透しており、個人投資家にとって重要な投資手段となったといえる。米国や日本など先進国ではインデックスに連動するパッシブ投資は既に主流として定着しているように、中国でも今後成熟化していくことが期待される。

※「亜州潮流」は、アジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。

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