相続
相続通信 第12回 生前に多額の贈与を受けている場合
2021.02.21 (日)
Q 生前に多額の贈与を受けていたら?
私は父から多額の金銭贈与を受けています。将来相続が発生した時に何か問題になりますか。
A 遺留分の問題が生じる可能性があります。
例えば、特定の方お一人に相続財産の全てを譲るといった遺言があった場合、遺留分の問題が生じます。
では、遺言ではなく生前に多額の財産の贈与を受けている場合はどうでしょう。
遺言の場合と同様に遺留分の問題が生じることになります。
解説
扶養義務の範囲を超える金銭・不動産・株式などの贈与や遺贈は特別な利益とされます。これを「特別受益」といいます。
まず、遺産分割の公平を保つため特別受益がどの程度あったか、遺産分割前に確認すべきでしょう。また、特別受益がある場合、その額と相続財産をあわせた総額から相続分の計算をします。相続分の計算が変わるため遺留分の額も変わります。
例えば、会社経営者が後継者に贈与した株式も、基本的には特別受益の対象となります。株式の価値が高い場合には、遺産分割が難航したり、遺留分の問題が生じる可能性があります。
なお、特別受益の額は、贈与時の金額ではなく、相続時の金額で計算されます。また、贈与財産を相続前に売却したことにより既に所有していない場合も対象となります。