ザ 語源 第34回 ASEAN諸国 国名の由来②
2024.05.10 (金)
前回までの「ザ 語源 第33回 ASEAN諸国 国名の由来①」ではアジア国々の国名の由来を説明しました。
今回は「マレーシア」「フィリピン」「ベトナム」「カンボジア」の国名の由来をご紹介します。
マレーシア
「マレーシア」はマレー半島の南部とボルネオ島の北部を国土としており、マレー半島南部はマラッカ海峡に面しています。古来よりマラッカ海峡はインド洋と太平洋を結ぶ海上交通の要衝としてこの地を巡り多くの勢力が覇権を争ってきました。7世紀から16世紀初頭まではマレー系国家がこの地で繁栄しましたが、16世紀以降20世紀まで間、ポルトガル→オランダ→英国→日本→再び英国と外国による支配が続きました。
「マレーシア」という国名は古代インドの言語であるサンスクリット語の「山岳(ムラユ)」が語源と考えられています。この地にイスラム教が伝来する前に仏教やヒンズー教を伝えた古代インドの人々によって山が多いマレー半島を見てこのように呼ぶようになったとみられています。「マレーシア」と同様、マレー半島最南端にある隣国の「シンガポール」の国名もサンスクリット語が由来です。
(詳細は「ザ 語源 第33回 ASEAN諸国 国名の由来①」をご参照ください)
フィリピン
「フィリピン」は16世紀後半から19世紀までおよそ300年以上にわたりスペインに支配されていました。16世紀後半のスペインでは欧州で最も高貴な血筋をもつハプスブルク家のフェリペ(英名:フィリップ)2世が前国王のカルロス1世の植民地を引き継ぎ、絶頂期を向かえていました。その支配領域は太陽が地球のどの地域を照らしても1日中帝国の領土のどこかに日の光があたるほど広大で「太陽の沈まない国」と称されました。
このフェリペ2世が皇太子だった頃、帝国の探検家が皇太子の名にちなんで「フェリペナス諸島」と名付けたことが「フィリピン」の国名の由来になりました。
ベトナム
中国語で「ベトナム」は「越南(中国語読み:ユエナン)」といいます。「ベトナム」の国名は中国が語源と考えられています。
「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」や「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」などの故事成語で知られる古代中国、春秋・戦国時代の強国「越」は現在の浙江省あたりにありました。「越」のさらに南方に位置する地域を「越」の南で「越南」と呼ぶようになったことが「ベトナム」の国名の由来につながったとみられています。
カンボジア
現地の言葉であるクメール語で自国の「カンボジア」のことを「カンプチア」といいます。「カンプチア」は「カンブの子孫たち」という意味で「クメール」の神話が由来です。「クメール」とはカンボジア国民の約90%を占める民族のことです。インドから来た高僧「太祖カンブ」が「カンボジア」を建国しクメール人はその子孫という神話が国名の由来です。東アジアでは建国の始祖を「太祖」と表します。「カンブ」は「カンボジア」の建国の始祖であり、国名にもその名を冠しているのです。
ところで野菜の「カボチャ(和名は南瓜)」は日本の戦国時代16世紀半ば頃にポルトガル人によって「カンボジア」から伝わったという説があります。ポルトガル人が日本に「カボチャ」を持ち込む前の寄港地だった「カンボジア」をそのままこの野菜の名称としたという由来が有力です。
※本記事で解説する内容について、実際の言葉の成り立ちや、一般的とされる説と異なる場合がございます。
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