以新伝心 急成長するAI半導体と注目のASIC
2024.01.22 (月)
当記事は2024年1月15日発行「アイザワ・グローバルマンスリー1月号」より抜粋しております。
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急成長するAI半導体と注目のASIC
12月6日、米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズAMDは「AMDAdvancingAI」と題した発表会で、同社の生成AI向け新型GPU「MI300」シリーズの詳細を明らかにしたと同時に、今後4年間でAI半導体の市場規模は450億ドルから4000億ドルに拡大すると予想した従来予想は300億ドルから1500億ドルに拡大)。
世界半導体市場統計WSTSによると、2022年の世界の半導体の市場規模は5741億ドル、そのうちICの市場規模は4744億ドルであったことから、AI半導体は成長率と絶対額の点で業界に多大なインパクトをもたらすことが見込まれている。
AI開発のプロセスは大きく「学習」と「推論」の2つに分かれており、前者は入力したデータを分析してモデルを構築するプロセス、後者は構築されたモデルを元にデータを識別するプロセスだ。現在、様々なAIモデルを構築するニーズが多いため、「学習」プロセスで行う大規模並列処理を得意とする「GPU」の急成長が目立っているが、GAFAMやテスラなど大手テック企業はより処理速度と電力効率に優れる「ASIC」の開発を加速させている上図参照)。
ASICは特定用途向けICの略称で、幅広い用途に対応できるCPUやGPUと違って、特定の用途に最適化された専用チップのことを指す。AI向けASICの代表的な製品として、アマゾン・ドットコムの「Trainium」、アルファベットの「CloudTPU」、テスラの「D1」などが挙げられ、「学習」プロセスにおいてGPUを大きく上回る性能を発揮している。
また、AI開発がデータセンターでのモデル構築からから末端でのデータ識別に広がっていくのに伴って、今後は「推論」プロセスでもASICの利用が急増する可能性がある。現状、ASICはGPUに比べて開発環境がまだ不十分であるものの、自動車やスマホ、PCなど消費者向け製品への応用が広がれば、AI半導体の普及を担う主役になりそうだ。
※「以新伝心」は、新しい出来事に着目し、心に伝えることをコンセプトにしたコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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