株式を購入してみよう!
2024.06.07 (金)
売買注文に必要な項目
投資したい会社が決まったら、実際に買い注文を出してみましょう。1年生では口座の種類について解説しましたが、ここではインターネット口座での注文方法について紹介します。
株式の売買注文を出すときは、取引画面より「現物注文」の「買い」か「売り」、もしくは「信用注文」の「買い」か「売り」を選択します。「現物注文」とは、保有している資金の範囲内で株を購入したり、保有している株を売却する通常の取引を指します。
一方、「信用注文」とは、一定の資金や株券を担保に、証券会社から資金を借りて株を購入したり、株券を借りて株を売却する取引です。手持ちの資金よりも大きな金額の取引ができる半面、期待される利益も損失も大きくなります。場合によっては担保以上の損失が発生してしまうことがあるなど、リスクも大きな取引です。また、信用取引を開始するには、一定期間以上の投資経験や預かり残高などの諸条件があるほか、事前に手続きが必要です。したがって、ここでは、「現物注文」を例に解説していきます。
次に、銘柄や証券コードを指定し、注文画面にしたがって、①市場、②株数、③単価(成行、指値など)、④期間、⑤預かり区分を選び、必要事項を入力します。
①市場
通常、株式を売買するときは、株を買いたい人と売りたい人が直接取引するのではありません。証券会社を通じて株式市場で取引を行います。
以前の講義でも紹介しましたが、日本には、東京、札幌、名古屋、福岡の4か所に証券取引所があり、その中で最も大きな市場が「東京証券取引所(東証)」です。東証にはスタンダード市場、プライム市場、グロース市場があります。
また、上図にある「最良執行市場」(優先市場)とは、複数の取引所に上場している企業の場合、代表市場を指し、一般に売買高が最も多い市場が選ばれます。
②株数
株式は売買できる最低単位が決まっています(株式ミニ投資を除く)。日本の証券取引所に上場する企業の売買単位は100株単位に統一されており、100株を1単元といいます。また、1単元に満たない株を「単元未満株」といいます。なお、通常取引の場合、株数は100株、200株、300株など整数倍を指定します。
ただし、海外市場では企業によって売買単位が異なる場合があるため、売買注文を出す際は注意しましょう。
③単価
株式の売買注文を出すときに、値段をどうするか決める必要があります。注文方法には大きくわけて「指値」と「成行」の2種類があります。
「指値」とは、「いくらで買いたい(売りたい)」と値段を指定する方法です。希望する値段で売買できる反面、買い注文の場合は、指値以下での売り注文がなければ買えません。また、売り注文の場合は、指値以上での買い注文がなければ売れません。一方で、「成行」とは、「いくらでもよいから買いたい(売りたい)」と特に値段を指定しない方法です。売買はほぼ成立しますが、値段は市場の流れに左右されるため、株価の変動が大きい場合には自分の予想よりも高い(あるいは安い)値段で売買が成立することもあります。
すぐに売買したい場合、特にリアルタイムの株価を見ながら発注できる場合は、「成行」が便利でしょう。ただ、現値よりも安く買いたい場合や高く売りたい場合は、「指値」がよいでしょう。また、取引時間外に予約注文する場合も注意が必要です。「成行」にしていると、夜中などに株価に影響するような出来事が起こり、翌日、予想外の値段で売買が成立してしまうことがあるからです。さらに、例えば現値が1,000円のとき、できれば買いたいけれども1,050円超では買いたくないという場合は、現値よりも高い1,050円で「指値」をしておくと、相場が急変しても予想外に高い値段で買ってしまうことを避けられます。
それでは、もう少し株の売買が成立する仕組みについて見ていきましょう。株の注文は「価格優先の原則」と「時間優先の原則」によって決まります。
■価格優先の原則
買い注文については値段の高い注文が値段の安い注文に優先し、売り注文については値段の安い注文が値段の高い注文に優先するというルール。
■時間優先の原則
同じ値段の注文の場合、取引所が受け付けた時間が早い注文が遅い注文に優先するというルール。(※同時注文については適用されません。)
このように、2つの原則で売買が成立します。値段については「価格優先の原則」が適用されるため、「成行」と「指値」では「成行」注文が優先されます。そして、「指値」では安い値段での売り注文、または高い値段での買い注文が優先されます。
そのほか、指値をする場合は、注文できる値段の刻み(刻み値)や「呼び値」にも注意しましょう。呼値は株価の水準によって異なります。また、「制限値幅」とは、急激な株価の変動によって、投資家に不測の損害を及ぼすことを避けるために定められた1日の価格の変動幅です。通常、前日の終値を基準に決められており、制限値幅の上限を「ストップ高」、下限を「ストップ安」といいます。
④期間
注文の有効期限を指定します。
なお、日本の株式市場の取引時間は、9:00~15:30となっています。9:00~11:30の午前中の取引を「午前立会」と言い、12:30~15:30の午後の取引を「午後立会」と言います。東証以外の市場(札証・名証・福証)も同じ時間で取引されています。また、土日祝日、年末年始は休場のため取引ができません。
15:25~15:30の間は注文受付時間(プレ・クロージング)のため、注文は受付されますが約定は行われません。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
⑤預かり区分
株式を購入するときは、注文時に預り区分を指定する必要があります。口座開設の状況によって、「特定預り」「一般預り」「NISA預り」を選択します。
1年生でも学習したとおり、「特定預り」とは特定口座での預りを指し、特定口座には、証券会社などが納税し、投資家は確定申告が不要な「源泉徴収あり」と、投資家自身が納税し、特定口座年間取引報告書で簡易申告する「源泉徴収なし」があります。また、「一般預り」とは一般口座での預りを指し、投資家自身が納税・確定申告を行う口座です。
そのほか、「NISA預り」とはNISA口座での預りを指し、NISA口座も事前に口座開設の手続きが必要です。NISAとは、毎年一定金額の範囲内で購入した株式等から得られる利益(配当や売却益)が非課税になる税制優遇制度です。詳しくは4年生で学習します。
なお、売買成立後に預り区分を変更することができないため、注文時に間違えないように確認のうえ、発注しましょう。
売買代金の決済と株の受け渡し
これまでの講義ですでに触れましたが、売買代金の決済と株式の受け渡しは、約定してからその日を含めて3営業日目に行われます。
株式を購入しただけでは株主としての権利を享受できません。各企業が定める「権利確定日」(決算日と同一日が多い)の2営業日前までに株式を購入、または保有しておく必要があります。特に、配当金や株主優待などを目的に株式を購入する場合は注意しましょう。
また、権利確定日の1営業日前を「権利付き最終日」といい、権利落ち日には株価が下落しやすいという傾向があります。一般的に、配当金額などと同程度に下落するといわれており、配当利回りが高い銘柄ほどその傾向は顕著に現れます。ただ、株価は相場環境などにも左右されるため、この価格よりも高くなったり、安くなったりすることがあります。
さて、2年生の講義はいかがでしたか?株式投資の基礎知識を中心に講義してきましたが、初心者にとっては難しい内容もあったかもしれません。ただ、多くの場合、実際に株取引を行うことで、書籍やインターネットの記事を読む以上の経験を得ることができます。千里の道も一歩から。まずは小さな額からでもよいので、実際に株を購入してみて投資家としての経験を積み重ねていきましょう。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。