いろいろなチャート分析法!
2024.05.24 (金)
ここからは、少し発展的な内容でいろいろなチャート分析の方法について学んでいきましょう。
まず、チャート分析には数十種類のテクニカル指標が存在します。投資家の皆さんそれぞれが自分に合ったテクニカル指標を選び、または複数組み合わせたりして投資戦略を考えています。しかし、初心者はどのチャートを使えばよいかわからないがために、得てして難しい方法を使ってしまい、途中で投げ出してしまうことがあります。そこで、今回は初めてチャート分析をする方にも比較的利用しやすいトレンドラインと一目均衡表について解説していきます。
トレンドライン
トレンドラインはとても簡単に言うと、「移動平均線」を"バッサリ"と"大胆に"そして"シンプル"にしたものです。非常に大らかな手法ですが、簡単で使いやすい分析手法です。
トレンドラインは「上昇トレンドライン」と「下降トレンドライン」の2種類があります。そして、この2つのトレンドラインは「上昇トレンド」が買い、「下降トレンド」が売り、と判断されます。
理由は単純で、上昇トレンドはもし高値で買ってもそのままトレンドに乗って値が上がり、報われることが多いからです。一方で、下降トレンドでは安値で買えてもそのまま値が下がり続けて、売らなければ損をしてしまうことが多いからです。
トレンドラインはチャートに記載されているものではありません。ただ、自分で簡単に引くことができます。
まず、上昇トレンドラインは、ローソク足の安値で2点以上、できるだけ局地点がたくさんあるポイントを見つけて線を引いてみてください。
下降トレンドラインはその逆です。ローソク足の高値で2点以上、できるだけ局地点がたくさんあるポイントを探して線を引いてみてください。
このように簡単に引けるので、ぜひ試してみてください。
さて、ここで1つポイントがあります。それは、上昇トレンドラインと下降トレンドラインがぶつかった状態を「三角保ち合い」と言い、三角保ち合いができるとその頂点で株価がどちらかに大きく動く習性があるとされています。
そして、この「三角保ち合い」が見られたときは見送りと判断します。上昇トレンドと下降トレンドがせめぎ合っているため、どちらが勝つかを見てください。ここで、株価が上放れしたら上昇トレンドの勝ち、下放れすれば下降トレンドの勝ちです。
また、トレンドラインから株価が離れると注意が必要です。ここは「移動平均線」で説明した"ブレイク"となるのです。
そのほか、トレンドラインを使うときのポイントに"期間の長さ"が挙げられます。では、ざっくりとした図を使って説明しましょう。
上図のように、短い期間のチャート(たとえば日足)で上昇トレンドラインが形成された場合、「まだ信用できない」「また下がる(もとに戻る)かもしれない」と考える人も多く存在します。そのため、短期のトレンドは信頼性に欠けますが俊敏です。したがって売買のタイミングを判断するときに使います。
一方、長期のトレンドは信頼性があり強固です。そう簡単に崩れないことが多いからです。「下がったらチャンスと思う人」がより多く存在するようになり、押し目買い(下がった局面をチャンスだと考え買い注文を出すこと)が入りやすくなり、上昇トレンドは強固なものになります。しかし俊敏ではありません。この場合は銘柄選択のときに使います。
以上のポイントを踏まえた上で、詳しく分析方法を解説します。
ここで具体的に見ていくと、上図の日足で作った3か月間のトレンドラインでは「ここ最近下がりっぱなしだ」と思うかもしれません。しかしここで売買を判断せずに、下図の月足で作った3年間のトレンドラインも確認しましょう。そうすると、長期のトレンドでは上昇トレンドが崩れていません。そのため、この銘柄の押し目買いのタイミングだとわかります。
次に上図を見てみましょう。日足で作った3か月のトレンドラインでは、「上昇トレンドで買いのタイミングだ」と思うかもしれません。しかし、下図の月足で作った3年間のトレンドラインを見ると、この銘柄は下落トレンドの戻りの局面だとわかります。この場合、買いではなくしばし静観し、トレンドがブレイク(下落トレンドラインを上に突き抜ける)してから買っても遅くはないという判断ができます。
このように、トレンドラインを使って銘柄選択と売買のタイミングを図る際には、短期のトレンドラインだけでなく、長期のトレンドラインと組み合わせて使うことがとても大切です。
今回は月足のトレンドラインで銘柄を選択したり、大きな流れでの売買を判断し、日足のトレンドラインで売買のタイミングを図りましたが、時間軸は人それぞれ違います。例えば、デイトレーダーなどは日足で大局を判断し、1分足でタイミングを図ります。一方、超長期志向の投資家は年足で大局を判断したりします。
まずは自分自身に合った組み合わせを見つけて時間軸の違うチャート分析にチャレンジしてみてください。
一目均衡表とは
次は一目均衡表(いちもくきんこうひょう)について学んでいきましょう。
一目均衡表はプロの投資家もよく使うチャートで、株式投資の重要な判断材料の一つですが、一目で買いか売りかが判断できるので、わかりやすい分析手法の一つでもあります。
パッと見ただけだとハードルの高いチャートに思えるかもしれません。
ただ、ポイントは「雲だけを見ること」です。雲とは、赤丸で囲んだ色がついている部分で、「先行スパン1」と「先行スパン2」の2つの線に挟まれた部分を指します。そして、売買の判断基準はとても簡単で、雲と株価の位置を見て、株価が雲より上にあると買い、雲より下にあると売りと言われています。
では、実際にチャートを分析してみましょう。下図のチャートは売りと買いのどちらでしょうか?
株価の位置を見ると雲の上にありますね。そのため、買いになります。
次に下図はどうでしょうか?
矢印の部分は株価が雲の下にありますね。そのため、売りになります。
では、下図のように株価が雲の中にある場合はどうなるのでしょうか。
この場合は、終値が雲の上にあるのか下にあるのかで判断します。そすると、この株の終値は雲の上にはまだ来ていませんね。ということは、売りになります。終値が雲を上に突き抜けてはじめて、売りから買いに変わります。
このように、一目均衡表は雲を見るだけで「売り」か「買い」かを判断することができるため、多くの投資家が好んで使っています。当社の場合、一目均衡表は「グローバルナビゲーター」や「iTrader」等の投資情報ツールで確認できます。
ここまで、トレンドラインと一目均衡表について簡単に説明してきましたが、思ったよりもチャート分析が簡単だと感じてもらえたのではないでしょうか?
さて、ここで注意したいのは、どのような分析手法も投資判断を助けるものではありますが、予想が100%的中するわけではないということです。また、投資初心者はチャート分析で疑問に思うことも多いでしょう。そんな時は、アイザワ証券の営業マンもアドバイスをさせていただきますので、気軽に疑問をぶつけてみてください。
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