亜州潮流 節約志向の味方、神戸物産の強みは
2024.04.15 (月)
亜州潮流 節約志向の味方、神戸物産の強みは
日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新し、3月に4万円を突破するなど日本全体が株高に沸く中、実際に景気が良くなっていると実感している国民は少ない。日銀が実施した生活意識に関するアンケート調査(2023年12月によると、現在の景気水準が「良い」「どちらかと言えば、良い」と回答した割合がわずか6.2%にとどまったのに対し、「悪い」「どちらかと言えば、悪い」と回答した割合が68.3に上っており、3四半期連続の悪化となった。
その主な原因としてインフレに賃金の上昇が追いついていないことが考えられ、こうした環境下で国民の節約志向が高まり、コスパ重視の消費トレンドが続くことが予想される。今回は、こうした消費トレンドで恩恵を受ける企業として「業務スーパー」を展開している神戸物産に着目し、その成長の秘密に迫ってみたい。
神戸物産(以下、同社)の成長の秘密は、様々な企業努力にある。具体的は、①SPA製造から販売までを手掛けるビジネスモデルの採用、②利益率の高いプライベートブランド以下、PB商品の拡充商品売上の約35%%)、③廃棄ロスの少ない常温・冷凍商品を中心とした商品展開、④ウェブチラシの活用による広告費抑制、⑤段ボール陳列やオリジナル什器冷凍ケースの採用等によるローコスト運営などが挙げられる。その中でも同社の最大の特徴は、SPAを採用している点である
同社は国内に食品加工工場を25拠点所有し、PB商品を自ら製造することで中間マージンを削減し、質の高い商品を安く提供することができる。同社PB商品は安いだけでなく、牛乳パックに入ったようかんなどユニークさも併せ持つことからファンが多い。同社IRに取材した時は、自社工場がフル稼働で生産しているとのことで、PB商品に対する消費者の支持は強いと言える。
また、ナショナルブランド(全国的に有名なメーカーが製造するブランド)商品においても、1000店舗以上の販売チャネルがあることや業界2番手、3番手の商品を取り扱うことで比較的安価に商品を仕入れることができている。足元、日銀はマイナス金利を解除して金融正常化に踏み出したものの、実質賃金のマイナスが依然続いているため、節約志向の味方である同社のような企業に対する消費者の支持は増々高まるのではないだろうか。
※「亜州潮流」はアジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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