アジア株週間トピックス 2024年2月13日号
2024.02.13 (火)
台湾、フィリピン、インドネシアが2023年4Q、2023年通年のGDPを発表
台湾、フィリピン、インドネシアがGDP成⾧率を発表
2024年1月から2月にかけて、いくつかのアジア新興国が2023年4Q、2023年通年のGDP成⾧率の伸び率を発表しました。1月31日に台湾とフィリピン、2月5日にインドネシアなどです。
まず1月31日の台湾ですが、2023年通年では前年比+1.4%と1~3月のマイナス成⾧が影響して低水準だったものの、第4四半期(10~12月)単独では前年同期比+5.12%と約2年ぶりの高成⾧となりました。世界的にもAIなどIT関連の需要が旺盛で、ハイテク大国台湾の本領を発揮しているといえます。
なお、台湾で1月13日に実施された総統選挙において、民進党・頼清徳氏が勝利したことで、中台関係の悪化や国会のねじれなど政治の面では懸念材料を抱えていますが、経済面は好調といえるでしょう。
また、株式市場のほうでは、1月18日に時価総額台湾最大のTSMC(台湾:2330)が市場予想を上回る好決算を発表しました。その後、同社株、台湾加権指数ともに高値圏で推移しています。世界的なAI、半導体ブームも株高に寄与しているといえます。一部、過熱気味の側面はありますが、当面、台湾経済、株式にとって良好な環境が続くとみています。
フィリピンの成⾧率は5%台ながら、内需は低迷
次にフィリピンです。2023年第4四半期(10~12月)は前年同期比+5.6%と市場予想の+5.2%を上回りましたが。また2023年通年の成⾧率は、前年比+5.6%と高水準ながら、政府の成⾧率目標(6~7%)を下回りました。10~12月期のGDPを項目別にみると、レストラン、交通などが2ケタの伸びであったものの、食料、家具はともに前年同期比+0.5%と、内需の分野が成⾧の足を引っ張っています。決してフィリピン経済全体が順風満帆という状況ではないといえます。
現マルコス大統領は、前ドゥテルテ大統領の目玉政策であった「Build Build Build」を引き継ぎ、インフラ政策を拡充しようとしています。2024年度国家予算では「Build Better More」と名付けたインフラ整備計画に1.4兆ペソ(前年度比+6.6%)が割り当てられています。
インフラ投資を拡充し、フィリピン経済全体の活性化につなげられるか、今後のフィリピン経済の先行きが注目されます。
インドネシアの2023年通年のGDP成⾧率は前年比+5.04%
最後にインドネシアです。インドネシアは2月4日に、2023年第4四半期と2023年通年のGDP成⾧率を発表しました。四半期単独では、前年同期比+5.04%、通年では前年比+5.05%でした。2022年通年は+5.31%であったため、順風満帆という状況ではないといえます。GDPの約半分を占めているのが家計消費支出ですが、インドネシア中銀がとっている引き締め気味の金融政策、インフレなどによって影響を受けていると思います。
2024年は金融緩和に転じるとみられていますが、アジア新興国は、米国の金融政策に影響を受ける(追随する)傾向があります。米国がいつ利下げに転じるか、インドネシアの金融政策の方向性を予想する上でも注目されます。
2月15日から開催されるインドネシア国際モーターショーに注目
2月15~25日の日程で、インドネシアでは国際モーターショーが開催されます。以前であれば、モーターショーといえば東京、中国、韓国、タイが注目されていましたが、最近はインドネシアで実施されるモーターショーを重要視する企業が増えています。
現時点でインドネシア地場の自動車関連メーカーは、アストラモーターズくらいしか見当たりませんが、2月6日に行われた事前会見では外資系大手メーカーが出展予定を発表しています。日系のトヨタ、ホンダ、スズキ、三菱、中国のBYD(香港:1211)、奇瑞汽車、ベトナムのビンファスト(ベトナム:VFS)などです。今後、国内勢と外資系の争いが激化しそうです。外資系のなかでは、ベトナムのビンファストがインドネシアモーターショーに初めて出展しています。世界市場進出のきっかけとなるか、今後のビンファストの動向が注目されます。
なお、2月14日にはインドネシア大統領選が実施されます。モーターショーの日程が2月15日~25日なので、モーターショーに対する関心が少なくなる可能性もありますが、各社がどういったコンセプトの車を出してくるか、注目したいと思います。
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