アジア株週間トピックス 2022年12月19日号
2022.12.19 (月)
アジア開発銀行がアジア新興国の成長率見通しを下方修正
アジア開発銀行が定期補足版を発表
アジア開発銀行は12月14日、「アジア経済見通し2022年版(定期補足版)」を発表しました。
同機関は毎年4月に年次の経済報告書を発表、9月に改訂版、7月と12月に簡易の補足版を発行するのが通例となっています。
直近の9月の改訂版では、2022年:4.3%、2023年:4.9%と見通しが引き下げられていましたが、今回の定期補足版では、各年のGDP(国内総生産)成長率予想は、2022年:4.2%、2023年:4.6%と、9月時よりさらに下方修正されました。
インフレは最悪時より鎮静化しているものの、不安要素も残る
各国が発表している月次のCPI(消費者物価指数)をみると、これまで懸念されていたインフレ動向については、各国とも直近はピークアウト気味になっているものの、まだ安心できるレベルでありません。
また、アジア新興国とのつながりが深い中国との交易が本格回復していないことも不安要素のひとつとなっています。
当面、アジア新興国各国は、自国のインフレ動向、金融政策、中国や米国など大国の状況などをみながら、不安定な経済状況が続くと予想されます。
フィリピン、台湾、両国は利上げを発表
フィリピンは今年7回目の利上げ
12月15日にフィリピン中央銀行は金融政策委員会を実施、今年7回目の利上げを発表しました。ほぼ市場予想通りの利上げで、利上げ幅は0.5%と、前回11月の0.75%利上げよりは小さくなりました。
ただ、このたびのフィリピンの利上げ幅縮小は、直近の米国の金融政策に追随する政策という要素が大きいと推測されます。実際、12月6日に発表されたフィリピンの11月CPIは、前年同月比+8%と、2008年11月以来のインフレ水準となりました。
利上げ幅を縮小しているとはいえ、フィリピン当局のインフレ警戒からの金融引き締めという流れは続いていると思われます。
また、同日12月15日に台湾も利上げを発表しました。現在の1.625%から1.75%への利上げです。厳密には、台湾はアジアのなかでは先進国に分類されるため、この週間トピックスのなかで触れる市場ではありませんが、中国との関係、世界的なハイテクの市況などをみるうえでは重要です。
今後も米国などの先進国やアジア新興国などの動向を横目にみながら金融引き締めと自国経済の成長を両立していけるか、難しい政策運営が続きそうです。
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