アジア株週間トピックス 2022年5月30日号
2022.05.30 (月)
インドネシアはパー ム油全面禁輸方針を撤回
インドネシアはパーム油輸出を解禁
5月23日に、インドネシア貿易省は、「パーム油とその原材料の輸出を解禁する」と発表しました。政府は、4月28日から「パーム油とその原材料を全面輸出禁止にする」としていましたが、内外からの反発などを受けて、約1か月で方針を撤回しました。禁輸、輸出解禁ともに、関係者への連絡がないままに発表されたもので、インドネシア政府、ジョコ大統領の政策方針に一貫性が感じられないという印象です。国内外関係者からの不信感の増大につながっています。
ライバル、マレーシアの動きにも配慮か?
このたび、唐突に方針が変更されたのは、国内外関係者からの不満の高まりに加えて、パーム油生産世界第2位であるマレーシアに対する警戒感です。
インドネシアの混乱を尻目に、マレーシアは国際市場での輸出、シェア増大を目指す方針を明らかにしたため、インドネシアは国際市場の中でマレーシアにシェアを奪われかねない状況となりました。この度の輸出解禁は前向きな決定ではなかったといえます。今後も方針変更がありそうです。
インドネシアは預金準備率を引き上げへ
5月24日に実施された定例の金融政策委員会で、インドネシア中央銀行は政策金利の据え置き、預金準備率の引き上げを決定しました。政策金利である7日物リバースレートは過去最低水準である3.5%に据え置き、預金準備率の方を、6月:6%、7月:7.5%、9月:9%と段階的に引き上げることになります。
政策金利を引き上げれば、景気へのマイナス影響が大きいと判断したと思われます。しかし、世界的に利げ連鎖が続いており、近い時期に同国も利上げに踏み切る可能性は高いとはみてよいでしょう。次回の金融政策決定会合は6月23日に開催される予定です。引き続き、会合でどのような政策方針が発表されるか注目されます。
預金準備率って何?
「預金準備率」変更の影響について、少し解説を加えます。準備預金とは民間銀行が 中央銀行に預け入れを義務付けられているお金で、預金準備率とは預金残高に対する比率のことです。このたびのインドネシア当局の準備預金引き上げは、これによって民間銀行から市中に出回る資金が減少する、ということになります。金融引き締めの一種といえるでしょう。
なお、このたびインドネシアは預金準備率引き上げを発表しましたが、直近中国は引き下げを発表しました。世界各国が利上げ連鎖となっているなかで、中国は逆サイクルにあるといえます。世界経済に影響力の大きい中国の政策方針が注目されます。
預金総額が変わらないとすれば、預金準備率が引き上げられると、貸出等に回せる資金が少なくなることとなります。
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