アジア株週間トピックス 2024年1月22日号
2024.01.22 (月)
1月15日にインドネシア、17日に中国がいくつかの経済統計を発表
中国とインドネシアがいくつかの経済統計を発表
1月15日、インドネシアが2023年12月の貿易関連統計を発表しました。輸出は前年同月比5.76%減、輸入は同3.81%減と輸出入ともに前年割れでしたが、貿易収支は33億ルピア増と貿易黒字を確保しました。2023年年間でも、輸出:11.3%減、輸入:6.6%減と輸出入ともに前年割れでした。2月の大統領選挙を控えて、インドネシアでは非関税障壁や貿易に関連する規制が見直しされる可能性は低いと思われます。当面、貿易の低迷が続きそうです。
また、経済不振が報じられている中国では1月17日に2023年4QのGDP成⾧率が発表されました。前年同期比5.2%増と、前四半期の4.9%増よりは若干改善しましたが、事前予想5.3%増を下回っています。これにより、2023年の年間経済成⾧率は前年比5.2%増となり、中国政府の2023年成⾧率目標「5%前後」を達成したことになります。とはいえ、統計発表直後の香港株式市場は大幅下落となっており、不動産危機を巡る中国に対する懸念は根強いといえるでしょう。
中国国家統計局の声明では「中国経済は外部からの圧力に耐え、国内の課題を克服、改善した」と発言しています。今後は2024年にどのような景気刺激策を打ち出してくるか、政府の方針が注目されます。
そのほか、17日には2023年12月のいくつかの経済統計が発表されました。鉱工業生産は前年同月比6.8%増、小売売上高は同7.4%増とおおむね良好でしたが、前年のゼロコロナ政策の反動、という側面もあると思います。今後は台湾総統選以降の中国の動きに変化が出てくるか、注目されます。
サムスン電子とTSMCが2023年決算を発表
韓国・サムスン電子は減収減益に
直近1月9日に発表された韓国・サムスン電子(韓国:005930)の2023年12月期決算(速報値)は、売上高が15%減と4期ぶりの減収となりました。また、営業利益も85%減と低迷しています。2023年10~12月の四半期では、売上高が5%減収、営業利益は35%減少と若干改善しているものの事前の予想数値は下回りました。韓国では4月10日に総選挙実施が予定されていることもあり、国内の政局、世界の半導体市況ともに不安定に推移しそうです。
台湾・TSMCは売上高横ばい19%減益に
そのほか、18日には台湾のTSMC(台湾:2330)が2023年4Qの決算発表を行いました。売上高が前年比横ばいの6,225.3億台湾ドル、純利益は同19.3%減の2,387.1億台湾ドルでした。粗利率は53.0%と前年同期の62.2%、前期の54.3%より低くなったものの、相変わらず高水準を保っています。18日の同社株がほとんど高値引けとなったことからみても、市場関係者の予想よりも好調な決算内容であったといえるでしょう。
また、同時にTSMCは2024年の設備投資額が、280億~320億米ドルになるとの見通しを発表しました。2023年の設備投資額は300億米ドルだったので、拡大する余地を示したことになります。ここ数年はサムスン電子とTSMCの決算が速報性の観点からも、世界のハイテク市況を占う指標となりつつあります。今度も両社の発表する決算内容、今後の見通しなどを追っていきたいと思います。
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