はじめてでもわかる ベトナム株「超」入門 ベトナムに貿易戦争「特需」
2020.01.22 (水)
2019年の海外直接投資は4割以上が中華圏から
2020年1月15日に米中両国は第1段階の合意文書に署名し、世界中が振り回されてきた米中貿易戦争は一時休戦となりました。これにより、今年の世界経済は持ち直しが期待されますが、米国が中国企業に課した制裁関税の多くは維持されたままであることから、予断を許さない状況に変わりはありません。そのような中、ベトナムの2019年の実質GDP成長率は7.02%と好調でした。産業別では製造業が11.29%と急伸、中国の代替輸出の増加が寄与しました。
米中貿易戦争がベトナムに特需をもたらしていることは、海外直接投資(FDI)の動向からもわかります。海外からベトナムへの直接投資の認可件数は、2019年に前年比41%増と急増しました。さらに注目したいのは国・地域別の内訳です。例年、認可額の上位を日本と韓国が占めてきましたが、2019年はというと、トップは韓国であったものの、2位以下は香港、シンガポール、日本、中国の順となりました。
また、新規投資の認可件数をみると、韓国と日本からの投資は1ケタの伸びにとどまった一方で、香港は前年比106%増、シンガポールは同31%増、中国は同76%増と急増しています。香港やシンガポールからの投資は、中国企業の現地法人によるものがほとんどのため、中国からの投資が急増しているといえます。
昔は安かろう悪かろうのイメージであった中国製品も、近年はiPhoneなどの製品に中国メーカーが電子部品を供給するなど、世界的なシェアと技術力をもつ企業が増えています。ただそういった企業も、米中貿易戦争を背景に中国の工場から直接欧米企業へと輸出しづらくなっており、迂回輸出先としてベトナムへの工場移転が加速しているのです。
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