マーケットのミカタ 次期日銀総裁の課題と見通し
2023.02.15 (水)
次期日銀総裁の課題と見通し
次期日銀総裁に経済学者の植田和男氏が起用
2023年2月10日、岸田文雄内閣総理大臣は4月に任期満了となる黒田東彦日銀総裁の後任に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する方針を決定しました。市場では現副総裁の雨宮正佳氏が就任することが予想されていたため、今回の植田氏への総裁要請は市場にとってサプライズでした。
まずは、植田氏と新たな副総裁に起用される見通しである氷見野良三氏、内田眞一氏についてみてみましょう。
今回の布陣は「失われた20年」を最もよく知る経済学者の新総裁を、財務省出身、日銀出身の副総裁が支えるという、バランスの良い体制といえそうです。
また、黒田現総裁やアベノミクスとは距離を置いて政策実行できる人選であると考えられます。
現在、植田氏の金融政策についての考え方や方針に注目が集まっていますが、まずは2月下旬の国会での所信表明で株式市場が大きく反応する可能性があります。
日本の物価と賃金の上昇率は日銀の目標からはまだ遠い
2月7日に厚生労働省より、2022年12月の毎月勤労統計が発表されました。まずは賃金上昇率の推移をみてみましょう。
12月の一般労働者の所定内給与は前年同月比+1.8%で、11月の+1.5%から伸びが加速していることが示されました。
政府や日銀のインフレ目標である2%と整合的とされる賃金上昇率3%にはまだ遠く、達成可能性は低いとの見方が多いですが、春闘を経てどこまで賃金上昇が加速するか注目が集まります。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
- 「スーパーブルーラップ」の詳細はこちらから
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