マーケットのミカタ 東証の魅力回復策
2023.02.07 (火)
東証の魅力回復策
日本株が長期的に低迷していた背景
これまで、日本株は世界の株式と比較して長期的に低迷が続いていました。まずはその要因として考えられるインフレ率と企業の設備投資額の推移を見てみましょう。
各国CPI(消費者物価指数)の推移をみると、欧米と比較して日本の物価はほとんど伸びておらず、日本は長期的にデフレが続いていたことが改めて分かります。
また、日本企業の設備投資額の推移をみると、長期的には投資額が大きく変わっていないことが分かります。
上記から、デフレが続いて人々の投資意欲や投資の必要性が高まらず、また企業も企業価値向上に向けた取り組みが不足していたと考えられます。
東証は魅力回復に向けて動き出す
1月25日、東京証券取引所がプライム市場などの上場基準に満たなくても暫定的に上場を認める経過措置を2025年3月以降の1年間で終了する案を発表しました。また、PBR(株価純資産倍率)が1倍以下に低迷している企業に対して、企業価値向上に向けた取り組みとその進捗状況を開示するように求める方策を発表しました。まずは、各市場の上場銘柄数とPBR1倍以下の比率の推移を見てみましょう。
表をみると、2022年4月に市場区分変更をしたものの、現在も約半分の企業がプライム市場に上場している状況で、今のところあまり大きな変化はないようにもみえます。
また、東証におけるPBR1倍以下の比率は足元で約半分となっており、株価が割安なままになっている企業が多いことが分かります。
今回の東証の魅力回復に向けた施策により各企業が企業価値向上に向けた取り組みを加速させる事になれば、割安な状況が続いていた日本株にとってプラス材料になると思われます。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
- 「スーパーブルーラップ」の詳細はこちらから
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