ザ 語源 第17回 マーケットと市場
2023.02.03 (金)
マーケットと市場
モノやサービスが集まり売買される場を「市場」と言います。「市場」は英語で「マーケット:market」です。漢字の「市」だけで「市場」の意味を持ちます。ちなみに「市場」はフランス語では「マルシェ」、ペルシャ語(イラン中心に中東で話されている言語)では「バザール」と言います。
「市場」には「しじょう」と「いちば」の二通りの読み方があります。二通りの読み方はリアルなモノを特定の場所で取引するかしないかで区別できます。株式や債券など金融商品の取引、また外国通貨の売買など特定の場所ではないところで行う取引や、経済用語で使われる概念などを表す場合は「しじょう」です。一方、特定の場所においてリアルなモノを取引、交換するところを「いちば」といいます。「〇〇中央卸売市場」も「しじょう」と読みますが特定の場所でリアルなモノ・商品を取引する場なのでこの場合例外となります。
次に「市場」の英語である「マーケット」の語源を探っていきます。
「マーケット」はラテン語の「商品」を意味する「merx:メルクス」、また「商いする」を意味する「mercari:メルカリ」が語源です。フリマアプリを運営する企業「メルカリ」は「マーケット」が社名の由来なのです。「merx」を語源とする英単語は「merchant:マーチャント:商人」、「merchandize:マーチャンダイズ:商品」、「commerce:コマース:商業」などがあります。太陽に最も近い距離で公転する惑星「Mercury:マーキュリー:水星」はギリシア神話における「商売と神様:メルクリウス」にちなんで名づけられました。「マーケット」と同じ「merx」が語源です。「水星」は太陽に一番近い距離で公転し、天空を素早く動くため、忙しく働く「商売の神様」とされたのです。
一般の人々が古着や骨とう品など中古品を持ち寄り、広場や公園などで自由に販売される場が「フリーマーケット」です。英語では「flea market」、「flea」は蚤(ノミ)です。自由な物品の販売から「free market」をイメージしますが、フリーマーケットの「フリー」はなぜか「蚤(ノミ)」です。これは「フリーマーケット」がフランス語由来であったことによります。フランス語で「フリーマーケット」は「マルシェ・オ・ピュス」といい、「ピュス」は「蚤(ノミ)」を意味します。日本では「蚤の市(のみのいち)」が「マルシェ・オ・ピュス」の訳語として定着しました。「蚤(ノミ)」が湧く古着を売っていたことが語源説の一つとなっています。
※本記事で解説する内容について、実際の言葉の成り立ちや、一般的とされる説と異なる場合がございます。
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