はじめてでもわかる ベトナム株「超」入門 新型コロナ第3波が襲来
2021.02.12 (金)
ベトナム株式市場の値動きが大きくなっています。ベトナムVN指数は昨年3月の安値から8割上昇し、1月半ばには心理的な節目となる1,200ポイントの大台に乗せる場面もありました。さらに、ホーチミン市場の売買代金も20兆ドンを超えるなど(2020年平均は6.5兆ドン)、短期的に過熱感が強まっていた中、新型コロナウイルスの第3波の襲来を受け株価が調整しています。
1月下旬まで、ベトナムでは約2ヵ月間に亘り新型コロナの市中感染が確認されていませんでした。しかし、日本に入国したベトナム人から英国型変異種への感染が判明したことを受けて、接触者を追跡調査したところ、1月28日に北部ハイズオン省でクラスターを確認。さらに感染ルートは異なるものの、隣接するクアンニン省でも感染者が見つかりました。その後、感染は全国へと拡大し、2月9日までに470人の感染者が確認されています。政府は1月28日にはハイズオン省の一部地域をロックダウンし、クアンニン省のバンドン空港を封鎖しました。加えて、テト(旧正月)休暇入りを前に、ハノイとホーチミンの2大都市でもカラオケやバー、映画館などの営業停止に踏み切っています。
一方、2020年のベトナム経済は、10~12月期の実質GDP成長率は前年同期比4.5%と、前期の2.7%から加速。さらに通年では前年比2.91%と、コロナ禍でマイナス成長を余儀なくされる国が多い中、プラス成長を維持しました。このように好調な経済を支えているのは輸出です。2020年の輸出額は前年比7.0%増と、アジア主要国を大きく上回ったほか、2021年1月も前年同月比50.5%増となりました。1月の大幅な伸びはテト(旧正月)休暇時期のずれによる反動もありますが、世界的なテレワークの普及で携帯電話や電子部品、機械などの輸出が伸びていることも追い風となっています。近年ベトナムは積極的な貿易の自由化により、「チャイナ・プラスワン」としての地位を築いてきた上、「コロナ封じの成功」も投資先としての優位性を鮮明にしました。
足元、第3波の襲来を受け正念場を迎えているベトナムですが、すでにこれまで同様の強力な対策を講じていることから、早期に沈静化できる可能性があるでしょう。引き続き東南アジア経済の回復の牽引役となることが期待されます。
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