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生成AI向けデータセンターで電力需要増 注目される原子力関連銘柄

2024.10.01 (火)

日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

生成AI向けデータセンターで電力需要増 注目される原子力関連銘柄

アメリカ東部にあるスリーマイル島原子力発電所が再稼働に向けて動き出すことになりました。2024年9月20日、現地の電力会社のコンステレーションエナジーが同原発を再稼働させ、IT大手のマイクロソフトに電力を供給すると明らかにしたのです。

もしかすると若い方ではご存じない方もいらっしゃるかもしれませんがスリーマイル島原発といえば、1979年に核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きて放射性物質が漏れ出すという、アメリカ史上最悪の原発事故があったことは、ある程度の年代の方なら忘れてはいないことと思います。

そのスリーマイル島原子力発電所を再稼働させる計画が出てきたこと自体、驚きではありますがそれだけ電力事情が逼迫する懸念があることの裏返しといえるかもしれません。

これほどまでに電力が必要となるとの見方は生成AIが発端となっています。米国に限らず、いま世界中でAI向けのデータセンターの電力需要の増加が見込まれており、これがスリーマイル島原発の再稼働を後押ししたとみられます。

こうした動きは株式市場にも大きな影響を与えています。いうまでもなくその最大の恩恵を受けているのは米エヌビディアであり、半導体関連ということになるでしょうが、前述したように電力も大きな期待を集めている業種の一つと言えるでしょう。

データセンターを稼働させるためには安定した電力供給が必要です。たとえば再生エネルギーとして代表的な太陽光発電などは日中は発電が可能ですが、夜間は太陽がないため発電できません。データセンターは夜間も当然稼働していますから、太陽光発電だけでは必要な電力を確保できない、ということになります。

火力発電は夜間も発電が可能ですが、二酸化炭素を排出するという課題があります。そこで注目されているのが原子力発電です。原子力というと安全性に懸念を持たれる方もいると思いますし、その点は十分に対策を行う必要がありますが、二酸化炭素の排出を抑え、かつ安定して電力を供給するためには原子力をもっと活用するべきという流れが世界では徐々に台頭しているわけです。

こうした動きから原子力発電に関連したビジネスを行っている企業で構成される「Solactive Global Uranium & Nuclear Components Total Return Index」という指数は、年間騰落率で2023年に約57%高(円換算 Global X Japan調べ)、2024年5月末時点では同29%高と非常に好パフォーマンスを記録しています。

日本の株式市場でも原子力関連として注目され、関連した話題があるたびに上昇する銘柄はあります。まずは電力会社、なかでも柏崎刈羽原発の再稼働に向けた動きが進んでいる東京電力ホールディングス<9501.T>などが代表的なものとして挙げられるでしょう。

東京電力ホールディングス日足チャート

それ以外にも原子力関連として、火力・原子力発電所主体のメンテ、建設工事を行う東京エネシス<1945.T>や、原子力向け鋳鍛鋼で世界大手の日本製鋼所<5631.T>なども折に触れて物色される機会がみられます。

東京エネシス<1945.T>日足チャート

日本製鋼所<5631.T>日足チャート

また、こうした個別株以外にも注目の銘柄があります。それが7月25日に新規上場したETF「グローバルX ウラニウムビジネスETF」(銘柄コード:224A)です。管理会社はGlobal X Japan社。信託受託会社は三井住友信託銀行です。

グローバルX ウラニウムビジネスETF<224A.T>日足チャート

同ETFは前述した「Solactive Global Uranium & Nuclear Components Total Return Index」との連動を目指すETFで、原子力部品メーカーやウラン採掘や鉱山開発の事業を主に展開している企業などが投資対象となります。信託報酬は0.715%(税込0.7175%)以内です。

日本国内における原子力関連への投資となるとある程度限られてしまいますが、同ETFを通じて、世界のさまざまなウラン関連企業に投資することが可能となるため、新規上場ということもあって注目してみたいと思っている銘柄の一つです。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

斎藤 裕昭

日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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