株式市場の視点 数々の懸念材料
2022.02.24 (木)
数々の懸念材料
ウクライナ情勢は緊迫継続
ロシアや米国・欧州諸国で駆け引きや外交努力が続いていますが、事態は緊迫しています。見通しが立ち難く、ヘッドラインで市場が大きく動く状況が続きそうです。
オミクロン株の感染者数がピークアウト
感染者数はピークアウトしつつありますが、感染者数は高水準で終息にはもう少し時間がかかりそうです。日本の水際対策は効果も大きかったと推測できますが、実質的な鎖国状況が長期間に及び、経済や外交などへの副作用も大きく政治的な判断が求められます。3回目のワクチン接種の遅れなどから、足元の調査によると岸田政権の支持率が低下しており、夏の参議院選挙を睨みながらの対応になりそうで、政策の停滞が続くリスクも残ります。
インフレ傾向が続く
ウクライナ情勢が緊迫するとエネルギー価格が押し上げられる状況が続いています。需給面では供給不足となっている上、EU圏内ではLNGなどのロシアによるエネルギー依存度が高いために、物価上昇圧力など景気のマイナス要因になります。
米国の中古住宅価格は前年同月比15.4%上昇しました。今後の住宅ローン金利大幅上昇を見越した購入が活発化し、在庫は過去最低の86万戸まで減少しました。様々なところでインフレ期待が高まるような状況となっています。
FRBの金融政策が明確になりつつある
2月16日に1月の FOMC 議事要旨が公表されました。前回の利上げ局面である2015年以降よりも経済・雇用情勢が強くインフレ率も高いため、当時より速いペースでの利上げを行う公算が高いことを殆どの参加者が考えていることが示唆されました。FOMC毎に連続して利上げを行う可能性も高く、FRBのバランスシートを大幅に縮小することが適切との認識が示されました。
ただ、FRBの金融政策スタンスは徐々に明らかになりつつあり、株式市場もそれなりに織り込んできました。3月15~16日の次回のFOMCを通過すれば不透明要因の一つが解消方向に向かう可能性も出てきました。
先行きの見通しを予想しにくい材料が株式市場の懸念材料となっています。一部には、落ち着きを示しかけている材料もありますが、各材料は密接に繋がっているために何れかの材料に大きな変化が生ずると、再燃する可能性もあります。状況が大きく振れやすく株式市場の変動率は高まり、荒れ気味のマーケットになりそうです。
図表で見るマーケット
- ウクライナ問題はどの様な展開を辿るかわかりませんが、ロシアの株式市場と為替動向を見る限り、マーケットの懸念を織り込み切ったような下落となっていません。
- この動きから見る限り、ウクライナ情勢がマーケットに与える影響はまだ強そうだと言えそうです。
(追記)グラフは2022/02/18までのデータを利用。その後RTS、ルーブル共に下落しています。
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