ふるさと納税のメリットとは?注意点や始め方も解説
2024.11.08 (金)
ふるさと納税とは、本人が居住する自治体以外の任意の自治体に寄付をすることで、税金の還付や控除を受けられる制度です。「利用したほうがお得」と話題になることもありますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、ふるさと納税のメリットや注意点、始め方を解説します。
ふるさと納税のメリットは5つ
ふるさと納税により納税者が受けられるメリットは、大きく5つです。
メリット1|税金の控除を受けられる
ふるさと納税で任意の自治体に寄付をすると、寄付金額から2,000円分を超えた部分が寄付金控除の対象となり、所得税および住民税が控除されます(上限あり)
例えば、年収700万円の共働きの方(配偶者控除なし)が10万円のふるさと納税をした場合、9万8,000円分が所得税および住民税から控除されます。
(トラストバンク「ふるさとチョイス かんたんシミュレーション」より算出)
ふるさと納税の控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。ただし、確定申告が不要な給与所得者などで、寄付する自治体の数が5つ以下などの条件を満たす場合は「ワンストップ特例制度」を受けられます。制度の対象となる場合、特例申告書を寄付先の自治体に提出することで、確定申告なしで寄付金控除を受けられます。
なお、ワンストップ特例制度とは控除額全額が翌年度の住民税から控除される仕組みです。確定申告での手続きと異なり所得税からの控除は行われません。
ワンストップ特例を利用せず確定申告を行う場合は、以下の要領で所得税・住民税の控除を受けられます。
・所得税からの控除額
(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
※控除の対象となるふるさと納税額の上限は、総所得金額等の40%
・住民税からの控除額
基本分=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
特例分=(ふるさと納税額-2,000円)×(100-10%(基本分)-所得税の税率)
※特例分による控除額が住民税所得割額の2割を超える場合は、特例分=住民税所得割額×20%
※控除の対象となるふるさと納税額の上限は、総所得金額等の30%
メリット2|自己負担2000円で返礼品をもらえる
ふるさと納税の大きなメリットは返礼品です。控除金額の上限以内であれば、実質2,000円の自己負担で寄付金額の3割以下に相当する寄付した自治体の特産品などがもらえます。
例えば、5万円の寄付をした場合の返礼品は1万5,000円相当です。南魚沼産のコシヒカリ5㎏×3回(新潟県南魚沼市)や、佐賀牛サーロインステーキ800g(佐賀県上峰町)などの食品をはじめ、ホテルの宿泊券といった娯楽品、日用品までさまざまな返礼品が自治体によって用意されています(※2024年10月時点)。
メリット3|好きな自治体に寄付できる
ふるさと納税は通常の納税とは異なり、故郷や応援したい地域、お気に入りの観光地など全国1,700以上の自治体から好きな自治体を選んで寄付できます。
寄付金は自治体の税収となり、地域活性化やさまざまな課題の解決のために活用されます。そのため、寄付を通じて自治体やその住人の応援につながります。
ふるさと納税は、住民票のある自治体(居住している自治体)に対しても可能です。ただし、その場合は返礼品を受け取れないため注意しましょう。
メリット4|寄付金の使い道を選択できる
ふるさと納税は、寄付する自治体を選択するほかに、寄付金の使い道も選択可能です。自治体ごとに、教育や子育ての支援や環境保全、産業振興や災害復興支援などの目的が設定されており、寄付時に指定できます。
使い道を選んで寄付することにより、寄付したお金が有意義に使用されていることを実感できます。
メリット5|クレジットカードのポイントも貯められる
ふるさと納税は、自治体に直接行うほか、ふるさと納税のポータルサイトも利用できます。クレジットカード決済による寄付に対応しているポータルサイトでは、寄付額に応じてクレジットカードのポイントを獲得できます。
なお、ポータルサイトによっては特定のクレジットカードを利用すればさらにお得にポイントを獲得できる場合もあります。そのほか、定期的にキャンペーンを行っていることもあるので、期間中に納税するとさらにお得です。
ふるさと納税に関する注意点を押さえておこう
ふるさと納税にはメリットがある一方で、注意点もあります。
注意点1|節税や減税対策にはならない
ふるさと納税は、翌年の税金が控除される制度であり、節税や減税の対策にはなりません。税金を前払いしているだけで、支払うべき税金の額は変わらないためです。
例えば、10万円を寄付した場合、9万8,000円はすでに寄付した自治体に支払っているため、その支払った9万8,000円分が控除される仕組みです。
注意点2|控除額に上限がある
メリット1でも述べていますが、ふるさと納税には、控除額に上限があります。上限は年収や家族構成、住宅ローンの有無などによって変わります。
控除上限額を超えて寄付をした場合は、超えた分が自己負担になります。ふるさと納税を行う際には、事前にご自身の世帯の控除上限額をシミュレーションしておくことが必要です。
なお、正確な控除上限額を確認するためには、ご自身の「収入」や「家族構成」「利用している控除制度」を把握しておかなければなりません。源泉徴収票や確定申告の控えを用意した上で、シミュレーションを行いましょう。
なお、当年の収入が変動した場合には上限額も変わるため、上限額は目安としてください。
注意点3|住民税の控除を受けられるのは翌年
ふるさと納税分の控除は、所得税については確定申告をした年の金額から行われますが、住民税は翌年度分からの控除となります。
例えば、会社員の方が2024年中にふるさと納税を行っても、住民税について控除を受けられるのは2025年の6月以降に支払う住民税からです。実際に控除を受けられるまで、タイムラグが発生することを覚えておきましょう。税金の先払いとなるため、家計に無理のない範囲で行うことをおすすめします。
ふるさと納税の始め方
ふるさと納税は、下記の手順で行います。
1.控除上限額の確認
2.寄付したい自治体や返礼品の選択
3.寄付の手続き
4.返礼品や寄付金受領証明書を受領
5.税額控除の手続き
ふるさと納税を始めるには、まず控除上限額を確認します。控除上限額をシミュレーションできるサイトを利用するとよいでしょう。上限額が確認できたら、ふるさと納税のポータルサイトなどを利用して、寄付したい自治体や返礼品を選びましょう。自己負担額を最小限の2,000円にするには、寄付額を控除上限額以内に抑える必要があります。
寄付の手続きは主にオンラインで行いますが、各自治体に必要書類を郵送・持参する方法や、電話での申し込みも可能です。寄付後は、返礼品と寄付受領証明書が送付されます。また、希望した場合にはワンストップ特例申請書が届きます。
控除を受けるには、確定申告やワンストップ特例による申請が必要です。確定申告の場合は、申告の際に寄付金受領証明書を添付します。ワンストップ特例を利用する場合、申請書と必要書類を翌年の1月10日(必着)で寄付先の自治体に送付します。
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まとめ
ふるさと納税は任意の自治体への寄付で所得税・住民税の控除を受けつつ、寄付先の自治体から返礼品をもらえるお得な制度です。支払う税金の額は変わりませんが、2,000円の自己負担で、寄付額の最大30%相当の特産品が贈られます。寄付を通じて寄付先の自治体を直接支援できるメリットもあるので、ぜひ有効に活用しましょう。