"ゼロ"から始める資産形成の心得 「何にしよう」から「これにしよう」へ
2021.12.28 (火)
前回の”「積立イメージ」から「将来イメージ」へ”では、シミュレーションによって積み立てによる将来のイメージについてお話しました。今回は、実際に買うことになる投資信託にスポットライトを当てて解説いたします。
これまでの説明で、積み立てには投資信託が適しているとお話しました。では、「実際に投資信託を買ってみよう」と思い立った時に、一つの壁に突き当たるかもしれません。
というのは、現在、日本には約6000本もの投資信託が存在しています。6000本です。この中からあなたが思うベストの商品を選んで投資してください!
…といっても、とても選びきれるものではありません。
しかし、これらの中にもファンドの分類や傾向などがありますので、これらについて説明し、実際にどれにするかの参考資料として役立てていただければと思います。
大枠を知るための投資信託の分類
まずは、表形式にまとめましたのでご覧ください。
他にも細かい違いはありますが、大きな括りで分けるとこれくらいに分類されます。
一つずつ簡単に説明していきます。
①対象資産
一口に投資信託と言っても、その投資信託が株式ファンドなのか、債券ファンドなのか、それ以外なのか?ということがあらかじめ決められています。また、複数の対象資産をミックスして投資するバランス型の投資信託も存在します。
②対象地域
日本、アメリカ、ベトナム、ブラジルなど、特定の国に投資するものもあれば、アジア、オセアニア、南米といったより広域な地域を対象としたり、あるいは先進国、新興国という大きな括りを対象としたりするものがあります。もちろん、グローバル型として対象地域にとらわれないものも数多く存在します。
③テーマ
特定のテーマに関連する株式などを選別して投資する投資信託のことを「テーマ型ファンド」と言います。特に、時事的なトレンドを捉えたテーマに投資するものは「流行り物」と呼ばれることがあります。最近では、AI(人工知能)、5G(次世代通信)などのテクノロジー関連や、ESG、脱炭素などの政策関連等のテーマが大きく注目を集めました。
④分配方針
企業でも「四半期決算」「通年決算」などがありますが、投資信託でも「決算日」が必ず設けられます。投資信託ではその決算日に、「分配金」によっていくら投資家に還元するかということが決められますが、投資信託によって決算日は年1回、半年に1回、毎月など様々です。
⑤運用方法
一般的に、投資信託はファンドマネージャーが投資家に代わり銘柄を調査・選別して運用しますが、この運用方法を「アクティブ運用」と言います。一方で、例えば日経平均株価や米国のナスダック総合指数など、特定の指数の上下に連動する運用を目指す投資信託もあり、この運用方法を「パッシブ運用」と言います。
⑥その他
DC(確定拠出年金)専用投資信託、SMA(ラップサービスのことを言いますが、今回は説明を割愛します)専用投資信託など、通常の方法では買付できない投資信託も存在します。
今回分類を6つに分けましたが、この①~④までの分類が組み合わされて投資信託が立ち上げられています。たとえば、
「①株式で②国内の③AI関連に投資する④年1回決算型」の投資信託
「①REITで②アメリカに投資する④毎月分配型(③のテーマは特になし)」の投資信託
といったようにです。
また、運用会社(アセットマネジメント会社)もたくさんありますので、別々の会社で似通った運用方針を取っている投資信託もあります。色々な運用方針があること、色々な運用会社があることから、これまでにたくさんの投資信託が生まれましたし、これからも生まれてくるでしょう。
より詳しく知るための「目論見書」「月次レポート」
運用方針についてはその投資信託の名称で判別できるものが多いですが、より詳しく調べたい場合は「交付目論見書」「月次運用レポート」を活用しましょう。
「交付目論見書」には、投資信託の目的や特色、投資リスク、運用実績、費用などが書かれています。
「月次運用レポート」でも同様に目的や特色、費用などが書かれていますが、こちらは運用実績に焦点を当てて書かれています。
「月次運用レポート」の方が内容が分かりやすく、これから資産形成を始められる方に向いていますが、「交付目論見書」は実際に買付する前に一度目を通すことが義務付けられていますので、慣れておくと今後の資産形成プランがより豊かになることと思います。
どちらもインターネットの検索エンジンで気になる投資信託の名前で検索すると、運用会社による個別のページがヒットしますので、そちらからご覧いただくとよいでしょう。
今回は、投資信託について具体的な説明をさせていただきました。これでもなかなかどれにすれば良いか選べない……という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方たちのために、他の運用方法も存在します。その一つが「ラップサービス」です。詳しいことは、次回説明したいと思います。
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