株主優待生活のススメ
2022.05.31 (火)
前回の講義ではつみたてNISAについて学びました。今回の講義では、株主優待をテーマに株主優待の取り入れ方や株主優待投資の方法についてお話します。
株主優待とは
株主優待とは、ある一定の株数を保有する株主に対し、企業が自社製品や優待品、金券や割引券などを贈る制度のことです。株主優待は必ず行わなければならない制度ではないため、株主優待を取り入れている企業と、そうでない企業があります。
株主優待制度は日本特有の制度で、海外の企業ではほとんど見られません。「株主総会のお土産からいつの間にか制度化されていった」「お中元やお歳暮を贈る習慣からきた」などの諸説ありますが、日本で最初の株主優待は、明治32年(1899年)に東武鉄道株式会社が始めた「東武鉄道全線乗車券」だと言われています。平成26年(2014年)にNISA(少額投資非課税制度)が開始されたことによって、株主優待を導入する会社が一気に増え、2022年4月現在では約1,500社もの会社が株主優待を取り入れています。
株主優待生活とは
株主優待投資は近年TVでも取り上げられることが多く、個人投資家の間では人気の投資方法です。中には、株主優待だけで生活のすべてを賄う個人投資家もいるくらいです。例えば、食事券や食料品がもらえる株主優待を選んで活用すれば、毎月かかる食費を節約することができますし、映画や旅行などのレジャーにかかるお金も、映画のチケットや航空券、ホテルの割引券などの株主優待を活用することで賄うことができます。生活のすべてを株主優待で賄うことは難しいかもしれませんが、株主優待を持つことで節約に繋げたり、今の生活をより豊かにすることが可能です。
株式投資というと、チャートと毎日にらめっこして値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うイメージが強く、とにかく難しい印象を持っている人もいると思います。また、会社選びが難しいという人もたくさんいるのではないかと思いますが、株主優待をメインにした投資であれば、自分の生活に密着した会社やよく知っている会社の優待を目当てに、楽しみながら銘柄を選ぶこともできます。株主優待投資は、値上がり益(キャピタルゲイン)や配当(インカムゲイン)にプラスした楽しみが得られる投資方法で、少額で年間に渡って投資をすれば、毎月優待や配当が入るようにすることも可能です。
株主優待投資の方法と注意点
①優待銘柄の選び方
優待銘柄を選ぶにあたっては、企業の業績や財務状況、株価の水準を見ることも大切ですが、自分で使える優待内容かどうかも重要です。どんな魅力的な優待でも、利用できる店舗や施設が近くになく、行くのにコストがかかる場合、優待としての旨味は減ってしまいます。まずは、普段からよく使うお店や商品、生活圏を見直して優待銘柄をピックアップするのも手です。
②優待内容の確認を行う
株主優待の内容については、会社四季報や証券会社が提供する投資情報サイトなどで確認することができます。詳細な内容については、目的の企業のホームページで確認するのが一番確実です。優待の概要を確認するだけではなく、詳細な内容についても企業のホームページで確認しましょう。
③株主優待の権利確定日を知る
株主優待の権利を得るには、「権利確定日」の2営業日前に株主名簿に名前が載っていることが条件になります。例えば、権利確定日が3月31日の場合、3月29日までに株を保有しなければなりません(土日祝を除いた場合)。
ここで挙げた3月29日のことを「権利付最終日」と呼び、株主優待や配当の権利を貰うためには「権利付最終日に保有しておくこと」が原則となります。また、「権利付最終日」の翌日のことを「権利落ち日」と呼びます。「権利落ち日」は、株主としての権利が落ちる日を指し、「権利付最終日」までに株式を保有していれば配当金や優待を貰う権利が得られるため、権利を得たあとすぐに売却する人が多くなります。そのため、「権利落ち日」は株価が下落する傾向があります。
基準となる「権利確定日」は各企業が定めている「決算月」によって異なるため、まずは「権利確定日」と「権利落確定日」がいつなのか確認する必要があります。
④優待対象の最低投資額を知る
優待の対象になる株数は企業によって異なります。また、株主優待は必ずしも保有株数に比例してたくさんもらえるわけではないため、お得な株数は何株なのかも確認しておきましょう。100株以上の保有で1,000円分、500株以上の保有で6,000円分の優待券がもらえるという場合もあります。
⑤配当+優待利回りを確認する
株式投資には、大まかに分けて株の値上がり益(キャピタルゲイン)で収益を上げる方法と配当(インカムゲイン)で収益を上げる方法があります。株主優待と同様に、「権利付最終日」に株式を保有することで配当を得ることができます。
配当利回りや優待利回りは株価の水準によって変動するため、株主優待銘柄に投資する際には配当利回りと優待利回りを確認し、納得のいく水準で銘柄選定をしましょう。この数値が高いほどお得な投資先ということになります。ただし、優待利回りが高すぎる銘柄は人気化して優待を維持できなくなることがあったり、業績が悪化すると経費削減のために優待が改悪・廃止されることがあるので、業績にも注目しておきましょう。
⑥株価が安い時に買う
株価が安くなると配当や優待の利回りは高くなります。株価チャートや配当・優待利回りを確認し、納得できる水準で買い付けをしましょう。株主優待銘柄は「権利付最終日」に近づくほど株価が上がる傾向があるため、長期のチャートと権利確定月を照らし合わせて株価の動きの傾向を知ることも有効です。
⑦実績と指標を確認する
株式投資の基本として、過去・現在・未来の業績や指標も見ておきましょう。会社として、売上や営業利益の動きはどうなっているのか、PERやPBRといった指標を同じセクター内で比較するといったこともしておきたいです。
⑧優待内容や権利確定月を分散する
値上がり益(キャピタルゲイン)狙いの株式投資では、業種のセクターを分散してリスクを抑えることをしますが、株主優待投資では「いつ、何がもらえるか」という視点で銘柄を分散してみましょう。優待内容や権利確定月を分散することで、夏にはキャンプ場、冬には温泉などの楽しみを持ちながら投資をすることができます。
あなたにおすすめの株主優待
株主優待には様々なジャンルがありますが、あらかじめ決まっている優待品だとどうしても選べる種類は限られてしまいます。カタログギフトの優待であれば、届く度に豊富なバリエーションから選ぶ楽しみがあります。各社こだわりのある全国の名産品や特別感のあるグルメ、その会社特有の商品など、豊富な逸品から選ぶことができます。また、普段よく使うお店や商品から優待銘柄を選ぶのも手です。スーパーや百貨店をお得に使える優待や飲食店でも優待の種類は豊富です。ぜひ、優待をきっかけに生活を豊かにする投資を始めてみてください。
今回は株主優待を生活に取り入れるために必要なことを解説しました。株主優待を生活に取り入れることで、投資をしながら生活の楽しみを増やすことが可能です。ぜひ、身近な企業や普段使いするお店の株主優待を調べてみてください。次の講義では、時事ネタから集める投資のヒントを紹介します。
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