初心者におすすめの投資姿勢って?
2021.10.04 (月)
本講義では、投資初心者の方が知っておくべき投資姿勢について紹介します。投資で成功する人は、必ず自分の中で投資に対する強い信念や売買に関するルールを設けています。「いきなりそんなこと言われても…」と戸惑われるかもしれませんが、最低限、理解しておくべき投資に対する考え方というものがありますので、今回は投資初心者が知っておくべき考え方をいくつかご紹介したいと思います。「最初は誰もが初心者」です。不安を抱えながら投資をするのではなく、正しい知識を身につけてより良い投資生活を送りましょう。
本記事の3つのポイント
1. 万が一の場合でも生活に支障のない「余裕資金」で投資をしましょう!
2. 時間は個人投資家の味方!積極的に長期投資を活用しましょう!
3. 大きく勝つより大きく負けないほうが大事。リスクは正しく取りましょう!
余裕資金以外のお金で投資はしない
投資を始める際に大切なのは、「余裕資金」を見極めることです。「余裕資金」というのは、万が一なくなってしまっても日々の生活に支障のないお金です。もしも、日々の生活に必要なお金や子供の教育資金、住宅資金など、数年のうちに使うことが決まっているお金を使って投資をしてしまうと、あなたや周りの家族の生活に影響が出てしまうかもしれません。投資で大事なことは“心の余裕をもつ”ことです。したがって、投資に使うお金はもし失敗してもやり直せるお金を使うことが大事で、日々のトレードに「心の余裕」を持てるようなお金を使いましょう。
時間を味方にする長期投資
株式投資は投資期間に応じて大きく3つの投資スタイルに分けることができます。
プロではない個人投資家が、投資・運用をする上での王道は「長期投資」と言われています。プロの投資家が群雄割拠している金融市場で、個人投資家は情報取集力や分析力、資金量に不利があると考えられます。そして、投資は短期で勝つことを目指せば目指すほど、情報の収集力と分析力が求められます。もし、平日の昼間はどこかにお勤めで仕事をされていて、仕事の片手間で投資をしていたとしたらどうでしょうか。ただでさえ、プロの投資家が日々の情報収集に勤しんでいる中、果たして本当に上手くいくでしょうか。恐らく、このような状況で個人投資家がプロの投資家と張り合うことは、よっぽどの才能とセンスがない限りは、難しいと思います。
しかし、個人が投資・運用をする上で、最大の武器として使えるものがあります。それが、「時間」です。いわゆる投資のプロとは、どこかの会社に所属している一社員と言えます。どこの会社でもノルマ・目標といったものがあるのと同じように、プロの投資家は一定期間での運用成果を求められているのです。そのため、将来的には有望なのに、一時的に足元の業績や株価が悪いときには、売却を迫られてしまったり、個人とは逆に「時間」が制約になっていることがあります。一方で個人投資家であれば、運用環境が悪い状況でも、「じっと待つ」という長期戦略がとれます。
また、長期投資を行うと複利効果も期待できます。複利運用とは、運用で得た利益や利息が生じるごとにそれらを元本に組み込み、再投資することで運用資金を増やしていく方法です。複利はよく雪だるまに例えられますが、まさに小さな雪の玉を転がして大きくするようなイメージで、運用資金を増やしていくことができます。
図は、100万円を年率1%、2%、3%、5%で40年間運用した結果を比較したものです。運用期間が5年程度ではそこまで大きな差はありませんが、20~30年たつと1%の違いでも大きな差につながっていることがわかります。また、単利(利息が生じても元本には組み込まない)5%と複利3%を見比べてみると30年ほどたつと運用資金が逆転していることがわかります。このように、運用期間が数十年にわたるような長期投資では、複利運用のメリットを最大限生かすことができます。
正しいリスクの取り方とは
「余裕資金」で投資をしたとしても、もし失敗したら…ということは考えたくありません。
多くの投資家はとにかく短い期間で、資産を増やしたいと考えがちです。そうして、値動きの激しい(リスクの高い)ものに投資をして、大きな損失を被ってしまうということが多々あります。先ほどの複利運用の説明では、リスクについてはあえて言及しませんでしたが、基本的には投資商品は値上がりもすれば値下がりもします。可能な限りリスクを抑えて安定的な資産形成を目指す上で、まずは、正しいリスクの取り方と適切なリターンについて学びましょう。
リスクとリターンについてのクイズ
次の3つの商品があった場合、あなたはどれに投資をしますか?
一見すると、資産Aは毎回5%ずつしか上昇していないのに対して、資産BとCは上昇時のリターンが大きく、利益が大きそうと考えた方もいるかもしれません。一体どれに投資することが正解でしょうか。
答えは資産Aです(リスクの大きさ:A<B<C)。
資産BとCは2回ごとに10%の利益が出ているように見えるため、この結果が不思議に思われるかもしれません。実は、複利運用の効果はリスクの低い資産ほど複利効果が大きく、リスクが高い資産ほど複利効果は小さいという特徴があります。場合によっては、資産Cのようなリスクの高い資産に投資をしていると運用資金がマイナスになってしまい、大きな下落を繰り返すたびに資産形成ができなくなってしまいます。
実際には、資産Aのような安定的かつリスクがゼロという商品は存在しないのですが、ここで重要なのは、ハイリターンを求めると得てしてハイリスクになりがちであること(資産Cのようなケースだと、ハイリターンですらなくなってしまう。)です。そして、投資をする上で重要な心構えは、「大きく勝つのではなく、大きく負けないようにリスクを回避することのほうが重要である」ということです。実は、それが結果として資産形成につながる大きな一歩になります。
今回の講義はここまでです。投資手法で絶対にこれが良いといった方法はありませんが、最低限知っておいたほうがよい考え方について紹介しました。次回の講義では、今回の講義を踏まえて、正しいリスクの取り方についてより詳しく解説します。
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