アジア株週間トピックス 2023年9月11日号
2023.09.11 (月)
注目の中国の経済指標、中国大手不動産の社債償還期限は?
中国の経済指標低迷が続く
先週のアジア株週間トピックスで触れた通り、中国のいくつかの注目経済指標が発表されました。現時点では、9月7日の輸出入統計と9日の物価統計だけですが、7日に発表された2023年8月の輸出は前年同月比(以下同)-8.8%、輸入は-7.3%で、9日発表の8月のCPI(消費者物価指数)は+0.1%、PPI(生産者物価指数)は-0.3%でした。輸出入、物価ともに改善したとはいえない状況で中国経済の低迷を物語っているといえます。15日に発表予定の2023年8月の新築住宅価格、鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資も要注目だと思います。
中国はこれまで毎月公表していた若者(16~24 歳)の失業率発表を8月以降停止しました。政府は、統計をより良い調査数字にするため、と説明していますが、実体隠しの感がぬぐえません。悪い時でも、正確なデータを公開してほしいものです。
なお、同じく先週のアジア株週間トピックスでカントリー・ガーデン(碧桂園)の社債償還期限について触れましたが、猶予期限ぎりぎりの5日にドル建て債2,250万ドルの利払いを実施したもようです。同時に元建て債の償還については償還延⾧を依頼するなど、同社と金融機関の交渉が続いています。完全に危機を脱したとはいえない状況で、中国の不動産、中国経済が本格回復するまでには時間がかかりそうです。
ASEANサミット、G20サミットなど大型イベント続く
G20サミットには中国・習近平主席は欠席か
9月に入って、ASEANサミット(インドネシア開催)、G20 サミット(インド開催)などアジアで大型国際イベントが相次いで開催されました。
G20サミットには、中国・習近平主席が欠席の意向で李強首相が代理出席したようです。中国の指導者が対面で開催されたG20に出席しなかったのは、新型コロナウイルスの蔓延が深刻化した2021年だけです。サミット実施場所がインドであること、ロシア:プーチン大統領の欠席、外交よりも内政のほうが気がかり、などと様々な理由が要因と推測されています。
プーチン大統領、習近平主席抜きのイベントとなりましたが、今年は日本・ASEAN友好50 周年にあたることもあり、サミットが出席国に与えるイベント効果は大きいと思われます。今後は、日本が得意とするインフラ整備などの分野で日本企業が活躍するケースが増えてくるとみています。
インドネシアは重要鉱物の輸出協定開始を米国に提案か?
また、9月6日にインドネシアのジョコ大統領は、ASEANサミットに合わせて米国・ハリス副大統領と会談し、重要鉱物(ニッケルやボーキサイトなど)の米国への輸出協定の協議開始を提案したようです。インドネシアのニッケル埋蔵量は世界最大の規模でボーキサイトとともに、EVやバッテリーなどの製造に欠かせない鉱物です。このたびの会談を機にインドネシアの資源関連政策に変化が出てきそうです。
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