アジア株週間トピックス 2022年3月22日号
2022.03.22 (火)
世界各国で利上げ機運が高まる
米国の利上げなどの影響も
3月15、16日に米国で開催されたFOMCで、政策金利であるFFレートの引き上げが発表された。このたびの利上げは、事前にパウエルFRB議⾧が議会証言のなかで示唆していたため、市場関係者にとってあまり意外感はなかった。また、利上げ幅が0.25%と一部で予想されていたよりも小さかったものの、ゼロ金利からの転換という意味では大きな変化といえる。アジア新興国など他の国の金融政策にも影響が出てきそうだ。
今後、2023年末まで利上げが続く見通しで、次回5月3、4日に開催されるFOMCでも利上げが決定される可能性が高い。米国の金融政策は、他の国の金融政策にも影響を与える可能性があるため、今後の米国動向、他国への影響が注目される。
多くの国でインフレ基調が鮮明に
世界的なインフレの流れに、ロシア問題が追い打ち
原油やアルミ、銅など、多くの商品価格の値上がりが目立っており、各商品価格は、史上最高値もしくは13、14年ぶりの高値となっている。原油高はOPECの増産見送りがきっかけだが、この流れに拍車をかけたのがロシア・ウクライナ問題だ。一方的にウクライナ侵攻を始めたロシアに対して、欧米諸国が金融制裁を実施、産油国のひとつであるロシアからの供給がとまるのでは、という懸念が原油高要因のひとつとなっている。
商品価格の上昇は、各国のインフレ要因のひとつとなっている。実際、3月10日に発表された米国の2月のCPIは+7.9%と、1982年1月以来約40年ぶりの水準となった。アジアでもインフレは目立ち始めており、直近の発表の中で目立っているのがタイだ。3月4日に発表されたタイの2月のCPIは+5.3%と、約13年ぶりの水準となった。原油高、アフリカ豚熱の流行などがインフレの主因と思われる。現在のタイの政策金利は0.5%と史上最低水準だが、インフレ警戒、通貨バーツへの配慮から、早晩に利上げする可能性が高いと思われる。
その他、アジア新興国に関する話題
インドネシアは、永年の悲願であった首都機能移転計画を実現させようとしている。3月14日には、移転候補地区であるカリマンタン島のパセル県にて地鎮祭を実施、大統領宮殿「イスタナ」に通じる道路を建設するための資材、重機の搬入を始めた。現在のインドネシアの経済状況は決して順風満帆といえる状況ではないが、計画を実現させる、というジョコ大統領の強い意志が感じられる。中⾧期的に、建設、資材、建機などインフラ関連銘柄が恩恵を受けるとみている。
近年は、新型コロナ、ロシア・ウクライナ問題、世界的インフレなど、世界的にマイナスの材料がクローズアップされがちだが、そのなかで、今回インドネシアが実施しようとしている「首都機能移転計画」は、久しぶりに夢のある事業だ。今後のプロジェクトの進展を見守っていきたい。
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