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東証の株式取引、11/5から15:30までに延長

2024.10.16 (水)

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

東証の株式取引、11/5から15:30までに延長

現在、東京証券取引所の上場株式は、9時から15時まで(11時30分から12時30分までの間は昼休み)が取引時間です。2024年11月5日(火)からは、上場株式やJPXデリバティブ市場の一部商品について、取引終了時刻が30分延長されて15時30分までとなります。

取引時間延長の概要

取引時間を30分延長する背景には、東証の取引システムの大がかりな刷新があります。システム障害が発生した際、当日のうちに復旧させる時間を確保する必要があるためです。多様化する投資家ニーズに対応し、投資家の利便性や国際競争力を高めるとともに、2020年10月に発生したシステム障害を踏まえて市場機能を強化するとのことです。

11月5日からは、現在、15時まで取引されている上場株式などが15時30分までの取引になります。9時の寄付や、11時30分から12時30分までの昼休みは変更ありません。

なお、札幌証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所は、現在でも取引終了時刻が15時30分で、11月5日以降も変更せず15時30分終了です。

ほかに立会外市場の取引時間も延長されますが、本コラムでは割愛します。詳細は、日本取引所グループのプレスリリース「取引時間の延伸の正式決定について」をご覧ください。

クロージング・オークションの導入

また、11月5日からは、新たに「クロージング・オークション」という仕組みも導入されます。東証のみならず、現行で15時30分まで取引を行なっていた地方の証券取引所でも、新たに導入されます。
「クロージング・オークション」を一言で説明すると、「ザラバ終了後に板寄せをする」という制度。これをもう少し丁寧に説明しましょう。
まず「ザラバ」とは、その日の市場が開いて最初に取引が成立した瞬間から最後の取引が成立するまでの間の時間帯のことです。

東証の場合、9時から株式市場は始まりますが、最初の取引(寄付)はこのあと説明する「板寄せ」で成立します。その直後が「ザラバ」で、売注文と買注文が合致したら取引が成立します。ザラバ中は、市場に入ってきた注文を、成行優先・価格優先のオークション方式で次々と取引成立させていきます。

次に「板寄せ」は、一定の受付時間内に売注文と買注文を集め、その間に集まった売買注文を一度に突き合わせて取引成立させる方式です。寄付前に市場に入ってきた売買注文の約定は、「板寄せ」によって始値が決まります。

では「クロージング・オークション」に話を戻し、【図】を使って説明します。

取引が延長される30分のうち、15時25分から15時30分までの間は、注文を受けるのみで取引は成立させない時間帯となります。つまり「ザラバ」ではありません。この5分間を「プレ・クロージング(注文受付時間)」と呼びます。
投資家は、プレ・クロージング中でも指値変更や取消注文を出すことができます。ただし、執行条件変更や不成注文の値段変更など、一部、変更できない特殊な注文もあり、各証券会社がホームページで説明をしています。
このプレ・クロージングの5分間を経て、15時30分に「クロージング・オークション」という板寄せが行なわれます。

投資信託の注文や入出金の締切時刻変更にも注意

上場株式の取引時間延長に伴い、投資信託の注文締切時刻も変更になります。一般的に、投資信託の買付や売却は、販売会社が締切時刻を設定しています。現行では、14時50分や15時などになっているかと思います。
いくつかの販売会社のホームページで確認をすると、11月5日以降は、現行で14時50分締切の投資信託は15時20分に、15時締切は15時30分に、と30分後ろ倒しに変更しているケースがほとんどのようです。投資信託の注文締切時刻は、販売会社ごとに、さらに投資信託の銘柄によっても異なりますので、ご自身が取引をしている販売会社でご確認ください。

また、証券会社は、顧客が証券総合口座と銀行口座との間で入金・出金する取扱時間帯を定めています。これらも変更する証券会社がほとんどです。
例えば、銀行口座へに出金する場合の当日取扱いを15時までとしている証券会社が15時30分に変更したり、翌日の出金指示の時間帯を現行から30分後ろ倒しにしたりしています。あらかじめ、ご自身が取引している証券会社ではどのようになるのかを確認しておくと良いでしょう。

なお、今回は詳しく触れませんでしたが、指数先物・オプション取引の日中立会終了時間や夜間の立会開始時間もそれぞれ30分後ろ倒しになります。
また別の観点では、これまで取引終了後に発表される慣習となっている上場会社の情報開示にも、影響が及びそうです。

【参考】
現物市場の機能強化に向けた取組み(取引時間の延伸等)」(日本取引所グループ)

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

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ライター

石原 敬子

ファイナンシャル・プランナー

石原 敬子

ライフプラン→マネープラン研究所 代表 ファイナンシャル・プランナー/CFP®認定者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。終活アドバイザー® 大学卒業後、証券会社に約13年勤務後、2003年にファイナンシャル・プランナーの個人事務所を開業。大学で専攻した心理学と開業後に学んだコーチングを駆使した対話が強み。個人相談、マネー座談会のコーディネイター、行動を起こさせるセミナーの講師、金融関連の執筆を行う。近著は「世界一わかりやすい 図解 金融用語」(秀和システム)。

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