ベトナム現地情報2022年3月号より 企業紹介 ビングループ
2022.03.18 (金)
ビングループ(VIC:Y3305)
2017年1月~2022年1月 ビングループ 株価推移
ビンファストの工場
2002年に設立されたビングループはベトナム最大のコングロマリット企業です。同社は大きく分けて不動産、リゾート、製造、ヘルスケア、教育の5つの事業を手掛けています。
中でも注目すべきは、同社の製造部門です。同社は2018年から本格的に自動車の生産に乗り出しました。そして昨年末には電気自動車の販売にこぎ着けました。ベトナム北部のハイフォン市にはその生産工場があります。
同社は第4四半期に初の最終赤字を記録しました。理由の一つが製造部門の電気自動車への一本化です。ガソリン車の生産停止(2022年末までに)に伴い、供給元に支払う契約金や生産体制変更による費用が発生しました。
基本データ(2月末時点)
売上高構成比
売上高・純利益
ちょっと深堀り☞ビンファストを知る
ビングループが力を入れる自動車部門、ビンファスト。同社は2018年に自動車部門を強化するため、GMベトナムを買収しました。そして買収した生産工場や販売網であるディーラーを活用しました。
買収から3年が経ち、昨年末にはベトナム初の電気自動車を販売にこぎ着けました。ベトナム政府も国内のEV産業振興のため、今年3月からEV自動車の登録料の免除や奢侈税の引き下げといった支援策を行います。
ビンファストはこのEV支援の恩恵を最大限享受するため、ガソリン車の生産停止を決めました。さらにEV生産を加速するために北部ハティン省で巨大なリチウム電池工場の建設を開始しました。
またベトナム国内では充電設備の不足といったインフラ面の課題があります。トヨタなど主要な自動車メーカーが加盟するベトナム自動車工業会もこのインフラの遅れを指摘し、政府の支援を求めています。そこでビングループは、この問題を払拭するために充電設備を年内に15万基に増やすことを目標に掲げています(現在は約4万基)。
今後の可能性としては米国、ドイツで製造工場の建設。資金調達のために米国市場での株式上場が挙げられます。
ビンファストの新車販売台数
2021年、ベトナムの新車販売台数 ベトナム自動車工業会(VAMA)所属メーカートップ5と 無所属のビンファスト
同社初の電気自動車VFe34
販売価格は6億9,000万ドン(およそ348万円)
※1ドン= 0.005044円(2022年3月2日時点、Bloomberg参照)
ハティン省で建設中のバッテリー工場ではEVバスのビンバス用のバッテリーも作られる予定。
もうちょっと深掘り☞【潜入】ビンファストの島って、どんなとこ?
自動車を生産するビンファストの工場はハイフォン市 中心部からバスで30分ほどの郊外の島にあります。工場の立つ場所は以前畑が広がっていました。またLG化学(リチウムイオン電池)やZF社(自動車部品)など部品供給元の工場もこの島に集まっています。また島の周囲は埋め立てられ、工業地帯となっています。
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