投資のコンシェルジュ 第8回 S&P500/日経平均/ドル円市場の見通し
2022.06.08 (水)
日米株価&ドル円市場の行方《2022年6月中旬~7月上旬》
〔日本時間:2022年6月6日月大引け〕
7月上旬へ向けて、(ロシア進軍の不確定要素を除いて)最大の焦点は、米金融政策。6月14日~15日に開催される米金融政策決定会合(FOMC)の結果であろう。5月FOMCでは政策金利の0.5%引き上げと、6月、7月会合での0.5%引き上げ(結果1.75%~2.00%)までが示され、市場は織り込み済みだが、強弱入り混じる5月の主要経済指標等を受けての9月会合へ向けたスタンスへの言及、四半期毎の経済見通し、に注目。
今一つは、5月の物価動向。消費者物価指数(CPI・6/10発表)、個人消費支出物価指数(PCEデフレータ・6/30発表)はそれぞれ3月から4月に低下してピークアウト感がみえており、続く結果となれば株式市場は好感。
FOMCによる「金利」、CPI等による「物価」、への不透明感払拭となれば、米株市場はS&P500社ベースで11.4%増益(事前予想:6.4%)と上方修正された2022年第1Qの好調な決算を織り込む「業績相場」入りが想定され、3月末水準(S&P500:4,530p/NASDAQ:14,220p)を上回る水準への上昇が期待できる。
前号でお伝えした、2022年11月米中間選挙への動向、加えて、インフレ及び選挙対策となる対中関税の行方(撤廃なら1.0%以上、インフレ率を引き下げるとの見方あり)は、引き続き注視する。
7月上旬の予想レンジは、①NYダウ:35,000ドル、②S&P500:4,500p、③NASDAQ:14,300p、④日経平均:29,500円、⑤ドル円:135.00円、の各水準。①~③は200MA(移動平均線)水準、④は22年初の水準、⑤は2002年2月高値水準を想定。前号の6月上旬予想レンジと同様。特に、200MA奪回は年初来の下落トレンド終焉を意味する重要な水準。
米6月FOMCでは、5月会合の宣言通り、政策金利を0.5%引き上げ(誘導目標1.25~1.50%へ)、7月FOMCまでの結果は1.75%~2.00%が想定され市場は織り込み済み。ただ、「6月」は四半期毎の「経済見通し」発表がある。参加メンバー各人が考える適切な政策金利の見通し「ドットチャート」が2024年まで示される。3月会合では、2022年の利上げ7回(年末・1.75%~2.00%)が示されたが、同水準は7月へ前倒し。まさに「倍速利上げ」。
一方で、9月会合は、「0.5%」「0.25%」「(利上げ)一時停止」とFOMC参加メンバー各人の直近の発言内容が別れており、「0.25%」又は「一時停止」が示されると市場は好感、グロース株中心に好業績を織り込み、日米株価は前述・7月上旬の予想レンジへ浮上とみる。
6月FOMCの開催前には、5月CPI(6/10)の発表が予定されている。 4月(5/11発表)は前年同期比+8.3%と市場の予想+8.1%を上回ったが、3月+8.6%からは低下。次いで、4月PCEデフレータ―(5/27発表)は同+6.3%と、3月+6.6%から1年半ぶりの伸び率鈍化により、インフレ率「3月ピークアウト説」の真実味が増し、株式市場は好感した。
今回5月の予想・同+8.3%(横ばい)が8.0を下回るなどインフレ鎮静化へインパクトのある内容となれば、前述9月FOMCは「0.25%」「一時停止」が濃厚、株式市場は大幅高の可能性。一方で、上回ると、次の5月PCEデフレータ―(6/30発表予定)の数値への期待から市場は様子見か。また、上回っても、インフレ鈍化傾向を印象付ける内容が含まれれば、6月データへの期待を残し緩やかな上昇基調をたどると予想。市場は、「売り材料」より「買い手掛かり」を探る展開に入ったとみる。
ドル円は、4月14日に「黒田ライン」(2015/06/05:125.63円)を上抜き、5月9日に高値131.33円へ到達。その後、4月CPI低下をみた米債利回り低下と伴に5月24日126円台へ下落するが、6月FOMCでの利上げが確実視され、米債利回りと伴に再び上昇、6月6日現在、130円台後半と高値をのぞき込む雰囲気。一方で、ECBの7月利上げ示唆によりユーロが上げ足を強め円安に一役。米FOMCの頃には、年内とみていた134.71円(2002/02/08)へ到達か。23年へ向け、ロシア・ショック直前:146.38円(1998/08/14)への上昇を想定する。
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