ベトナム現地情報2023年5月号より マーケット概況 プレイバック・4月のベトナム市場
2023.05.19 (金)
プレイバック・4月のベトナム市場
商いに復活の兆し
2023年4月の株式市場は下落が続きました。業種別では、通信、石油ガスなど3業種が上昇し、小売、旅行・レジャーなど16業種が下落しました。
しかし投資家の商いは徐々に戻ってきており、4月のホーチミン市場の1日の平均売買代金は、前月比20%増の11兆1,885億ドンと、10兆ドン割れとなった3月の低迷からの回復が見られました。売買代金の増加の背景として、銀行金利の引き下げを受けた株式投資の魅力増加、付加価値税(VAT)の引き下げや社債発行条件の緩和といった経済支援策への期待感があると思われます。
先月売り越していた国内の個人投資家は今月は買い越し、反対に先月買い越していた外国人投資家は今月売り越しとなりました。
外部要因が影響
今年1月から4月にかけての国内のマクロ指標について確認してみましょう。
まず4月までの小売売上高は前年比12.8%増の2,007兆ドンとなりました。そのうち小売は前年比10.5%増の1,581兆ドン。中でも回復が鮮明だった観光、旅行は前年比109.4%増の9.1兆ドンとなりました。
外国人観光客数は増加しており、4か月間で前年比19.2倍の368万人に上り、地域別ではアジアが最も多く、全体の7割を占めています。3月にはコロナ前に外国人観光客で最多を誇っていた中国人のベトナムへの団体旅行が解禁され、今後さらなる増加が期待されるところとなります。
貿易に関してベトナムは4か月間で63億米ドルの貿易黒字を確保していますが、輸出入ともに前年と比べて減少しています。
また4か月間の鉱工業生産指数は全体で1.8%の減少、その中でも製造業が2.1%減と弱い結果となりました。世界経済の回復の遅れが、ベトナムの生産活動にも影響を及ぼしていると思われます。
選り抜き!直近のトピック
人口が1億人を突破
国際連合人口基金(UNFPA)によると、4月中旬にベトナムの人口は節目の1億人を突破しました。1億人突破は世界で15か国目となります。ベトナムは労働力人口がおよそ6,800万人と、現在、人口構成の黄金期にあります。統計局の人口予想では2066年に1億1,700万人を達成、その後2079年に1億人を下回るとされています。
ビンファストのタクシー事業がスタート
ビングループ(VIC)のブオン会長が設立した新会社GSMは、4月にハノイ市、ホーチミン市でグループが手掛ける電気自動車(EV)を使用したタクシー事業を開始しました。ライトブルー色の車体は目立ち、その宣伝効果は抜群と思われます。乗車するには専用アプリを使って予約、初乗り運賃は1km:2万ドンと他社と比べて遜色ない印象です。教育がなされており、ビングループが運営するVinbus(電気バス)同様、丁寧な対応となっています。
またレンタカー事業では出前アプリのBAEMIN(ベミン)や配車アプリのBe(ビー)、ハイフォン市の地場タクシー会社と次々と提携をしています。既存勢力もこれに反応し、例えば国内大手のVINASUN TAXI(VNS:ビナサンタクシー)は年内に電動タクシーの導入を検討しています。EVの普及で、ビングループのEV製造事業に弾みをつけられるかが注目されます。
保険販売で業務改善を当局が要請
4月は国内の有名女優が自身の保険契約に関する注意喚起の動画をSNSに投稿し、注目を集めました。その後、財務省は4月中旬に各保険会社の代表と会合を行い、保険会社に対して改善策を求めました。騒動の影響もあり、今年4月までの保険業界全体の保険料収入は前年比1.2%の微増となり、中でも生命保険分野が不振でした。
また銀行での保険販売(バンカシュアランス)が増えており、保険収入全体に占める割合は生命保険で20%、損害保険で14%にも達しています。販売が拡大するにつれて不適切な勧誘によるトラブルも発生しており、財務省は今年調査に乗り出しています。
マーケットデータ
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