アジア株週間トピックス 2022年6月13日号
2022.06.13 (月)
タイの5月CPIは2013年9か月ぶりの高水準に
タイの5月CPIは前年同月比+7.1%に
6月2日に、タイが5月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。同国はここ数か月、インフレを抑え込んできましたが、このたびの発表では前年同月比+7.1%と、2008年8月以来2013年9か月ぶりの高水準となりました。8日の定例会合では、政策金利が過去最低の0.50%に据え置かれましたが、政策委員7人のうち3人が利上げを主張するなど、徐々に利上げ機運が高まっています。次回8月5日に発表される7月のCPI、8月10日の金融政策委員会を受けて利上げに転じる可能性が高いと予想されます。
OECDが世界経済見通しを発表に
OECDの世界経済見通しは大幅下方修正
6月8日に、OECDが世界経済見通しを発表しました。「The Price of War」という副題が示す通り、報告書では、ロシアのウクライナ侵攻が世界経済と物価に大きな影響を与えている、とする内容が目立ち、2022年の世界のGDP成⾧率見通しは+3.0%と、前回予想時(2021年12月)の+4.5%から大幅に下方修正されました。直近発表されたIMFや世界銀行も成⾧率見通しを下方修正しており、主要機関はかなり警戒感を強めつつあることがわかります。また同時に発表された物価見通しについては、前回見通しの+4.2%から+8.5%と、2倍以上に引き上げられました。OECD加盟国をみると、欧州主要国がほぼ含まれており、ロシア・ウクライナ問題への警戒が強いと思われます。
欧州中央銀行( ECB )は11年ぶりの利上げへ
おりしも欧州中央銀行(ECB)は、7月にも11年ぶりの利上げに踏み切る、と表明しました。現在のECBの政策金利は-0.50%ですが、9月末までには0%に引き上げ、マイナス金利を終了する方針です。予定通りECBが利上げをすることとなれば、主要国のなかでマイナス金利を続けているのは日銀だけとなります。当面の一段の円安圧力につながりそうです。
GOTOは上場時の水準まで回復
4月11日の新規上場以降、IPO時の初値水準を下回っていたインドネシアの ユニコーン企業「GOTOゴジェック・トコペディア(GOTO)」が上場時の水準まで回復してきました。同社を含むアジア新興国のIT業界では、市場シェア争いの激化で自社の体力が奪われる、という傾向があり ました。しかし、近年は取引総額に占めるインセンティブの割合を減らすことで、収益状況が 改善する企業が増えてきました。以前に比べて、合理的な支出を行うようになったことで、収益面からも評価できる企業になりつつあるといえます。振り出しに戻った大型ユニコーン企業として、「GOTOゴジェック・トコペディア」に引き続き注目していきたいと思います。
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