ベトナム現地情報2023年3月号より マーケット概況 プレイバック・2月のベトナム市場
2023.03.15 (水)
プレイバック・2月のベトナム市場
一転、弱い値動きに
2023年2月の株式市場は先月から一転、弱い値動きとなりました。業種別では通信・石油ガス・ヘルスケアが上昇、それ以外は下落しました。
控えめな取引が続き、2月のホーチミン市場の1日の平均売買代金は前月比5%減の10兆1,217億ドンでした。国内の個人投資家は4か月ぶりに買い越した一方で、外国人投資家は4か月ぶりに売り越しに転じました。
社債問題に揺れる
2月は不動産セクターの売りが目立ちました。特に不動産開発大手のノバランド(NVL)による利払いの遅延、社債の期日償還の未達が大きく響きました。
国内では不動産開発企業の社債、およそ46億ドルが2023年に償還を迎えると言われており、運転資金が確保しにくい状態が続く中でデフォルト懸念が囁かれています。
そんな中、3月に入って朗報だったのが政府によって5日に公布・施行された社債発行に関する政令8号です。これは企業が投資家との交渉により、投資家に対し元本と金利を他の資産を使って支払うことができ、さらに社債の償還を最大2年まで引き延ばすことが可能となります。政府による救済措置が出された格好となりました。
ベトナム株式市場で不動産は金融に次いで2番目に大きいセクターです。新政令が良薬となれるか、今後の動きが注目されます。
アフターコロナは息切れ感
2月の鉱工業生産指数(IIP)は137.1ポイントと2か月連続で130ポイント台となりました。新型コロナの感染が拡大した2021年8月以来の低水準です。もともとベトナムでは毎年1月または2月にテト(旧正月)があり、その時期のIIPは落ち込む傾向にあります。しかし世界経済の不透明感の高まりから、代表的な輸出品である携帯電話や衣料品の生産が落ち込んだことが影響したと思われます。
一方で、先行指標である購買担当者景気指数(PMI)は51.2ポイントと景況感の節目である50ポイントを4か月ぶりに上回りました。アメリカの企業、S&Pグローバルは良かった点として、海外市場の需要が改善しており、新規輸出の注文数が伸びていることを挙げました。
2月の小売売上高も堅調となりました。テトの反動で前月から6%ほど落ち込んだものの、1~2月を合わせた小売売上高はコロナ前の2019年の同期間と比べておよそ24.9%増加しており、消費の回復を実感させるものとなっています。
CPIは引き続き高いレベル
2月の消費者物価指数(CPI)は前月と比べて0.45%上昇しました。前年同期比では4.31%の上昇となり、1月に記録した4.89%から少し落ち着いた数値となりました。しかし政府目標である4.5%に迫る数字となっており、引き続き注目していく必要がありそうです。
ベトナム国家統計局は、2月のCPIが上昇した要因に石油ガス価格や家賃の上昇を挙げています。主な品目を確認してみると、テトの反動で食料品は前月比0.49%の下落、外食はテト明けの家族での外出需要を受けて前月比0.45%上昇しました。燃料価格の上昇を受け、交通も前月比2.11%の上昇となりました。
家賃の上昇に関して筆者が聞いた話では、筆者の住む集合住宅でもアフターコロナ後の家賃の引き上げが相次いでおり、賃料の上昇から入居者が他のところに引っ越す話を度々耳にしています。
マーケットデータ
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