株式放談 日経平均銘柄は入替でどうなるか
2021.09.13 (月)
9月6日に日本経済新聞社は日経平均の定期見直しで銘柄入れ替えを発表しました。日清紡ホールディングス、東洋製罐グループホールディングス、スカパーJSATホールディングスが外れ、新たにキーエンス、村田製作所、任天堂の3銘柄が採用されました。この3銘柄はいずれも関西に本社を置く企業です。3社とも日本経済を引っ張る実力のある企業ですが、かつては大阪証券取引所が最良執行市場だったからなのか、長らく日経平均に採用されていませんでした。定期見直しのたびに採用の噂が飛び交うのですが不採用になっていた経緯があり、今回の採用は驚きをもって受け止めました。
日経平均は単純平均なので値嵩株が与える影響が大きい指数ですが、この3銘柄はいずれも1万円を超える値嵩株です。特にキーエンスや任天堂は、7万円を超えるファーストリテイリングに迫る値嵩株です。価格形成に係るインパクトが大きい銘柄を一度に3銘柄も採用するという点でも、いつもの定期見直しとは違うなと感じます。
2000年「日経平均30銘柄入れ替え」
今回の定期見直しを見ていて思い出すのは、2000年の4月に行われた「日経平均30銘柄入れ替え」です。急なギアチェンジを行った感じが似ているからです。
2000年の銘柄入れ替えでは鉄鋼株などのオールド企業が除外されて、多くのIT銘柄が採用されました。2000年といえばITバブルが最高潮を迎えた年でしたので多くの値嵩株が採用されました。東京エレクトロンもこのタイミングで採用されたと記憶しています。皮肉にもITバブルはこの日経平均の銘柄入れ替えがきっかけになり大崩壊しました。
2000年と今回の違い
しかし、当時と現在ではITを取り巻く環境が違うので急落が起こるとは当然思えません。PERの水準も当時のIT株は100倍を超えている銘柄がゴロゴロしていたのですが、現在は東京エレクトロンで20倍しか買われていません。いわゆるバブルではないので急落が懸念される場面ではありません。キーエンス、村田製作所、任天堂ともに世界に通用する成長企業であり外人の知名度はばっちりです。今回のギアチェンジはむしろ日経平均最高値更新へ向けての起爆剤になるのではないかと思います。
併せて9月3日に菅総理大臣が自民党総裁選を辞退したことから日経平均が急伸しました。何かと批判の多い菅内閣ですがワクチンの確保の迅速性など評価ができる点もあったと思います。しかし、衆議院議員選挙は支持率が低い菅内閣では厳しかったことから辞任が好感されました。
過去の例を見ると与党が有利な衆院選は株価の上昇につながっています。政権が安定しているということが海外資金を呼び込むことになるからです。
テーパリングが与える影響
米国FRBによるテーパリングが予想されていますが、2019年からの2年間で日米欧の中央銀行の総資産は2倍に増えています。そうした豊富な運用資金が控えている状況で、日本株のバリエーションは米国株と比べても割安感があります。米国株と比較して国内大型株でも小型株のサイズ感になってしまう日本株ですが、インデックス運用であれば海外の年金資金が買ってくる可能性があります。
日本株の大型優良株は売買単位が引き下がっていない割に値嵩株が多いので分散投資が難しい側面があります。ですからETFやインデックス投信などを活用して投資するのも一つの方法です。銘柄入れ替え、衆院選に伴う新たな政策に期待して、日本株に投資するグッド・タイミングだと思いますが、いかがでしょうか。
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