かぶかはふしぎでうごいてる??? 第4回 企業について考える
2022.02.28 (月)
(株価)=(企業)×(投資指標)なので
第3回では株価と企業をつなぐものとして投資指標について記載しました。順番が逆になってしまった感も残りますが、今回は企業について考えてみます。良い企業の株価が高くなることには議論の余地がありません。そこで、良し悪しを評価するポイントについて考えてみて、複数の企業の中から選別するため指針を示したいと思います。筆者が企業を評価する視点として代表的なものと考えているものを次に示します。
①「成長性」
一般的に商品やサービスが伸びている企業に成長イメージをもつものです。そのため「売上高」が増加している企業を成長性が高いと認識することが多いです。ただし、株価は利益を重視します。売上高が伸びていても利益がついてきていない企業では持続的な株価上昇は見込めません。成長性は将来の利益増加を意味すると考えた方が理解は進み易いと思います。
②「収益性」
収益性とは「企業の稼ぐ力」と説明されることが多いです。大別して、収益性には売上高から得られる利益額との比率で評価する方法と、利益を得るために投入された資本との比率で評価する方法の2通りがあります。少ない売上高や資本から多くの利益を得ることが出来るビジネスをやっている企業。おいしいビジネスをやっていますね。しかし、おいしいところには人が集まってくることに注意が必要です。
③「安定性」
安定した企業もよい企業のイメージがあります。特に就職先を選ぶときなどは安定性を重視して選択することも多いかと思います。大別して、安定性には収益の安定性と財務的な安定性の二つがあります。しかしながら、株式市場では必要以上の財務安定性を評価しなくなってきていることには注意が必要です。
成長企業にもいろいろな経路がある
3つの評価ポイントのうち、まず成長性について考えます。成長過程にはその企業のビジネスの性格により辿る経路が異なります。分析対象企業が下記のどのカテゴリーに属するか理解出来ることは、その企業のかなりの部分が理解できたと考えてもいいぐらいです。
①高成長企業
取り扱う商品・サービスの需要が急増したために収益が急拡大している企業です。成長産業(最近の例であれば電気自動車や半導体など)に所属している企業が多いですが、それ以外の業界からも現れることがあります。一般的に株式市場で最も注目される企業群ですが、それだけに株価も高くなっていることが多いことには注意が必要です。
②安定成長企業
成長率は高くないものの安定して業績が成長する企業です。食料品やトイレタリーなどの生活必需品や大手小売業などの内需型産業に存在することが多いものです。
③シクリカルグロース企業
景気や業界のサイクルによって業績が増減するが、長期的には成長基調にある企業です。電機や自動車などの製造業に存在することが多いです。
④循環型企業
業績が循環するように増加したり減少したりする企業です。取り扱い商材が市況商品である企業に多いです。循環の中での回復期には業績が急成長しているように見えますが、どこかでピークアウトしてしまいます。このような企業は成長企業とは呼びにくいものの、投資タイミングが良ければそれなりの利益を獲得することが可能です。ただ、長期投資に向くかという点では、更なる検討が必要です。
分析対象企業の業績を出来るだけ過去から長く見てください。分析対象企業の業績動向とご自分の考え方が一致しているか確認することは有意義だと考えます。
高成長企業を評価するときの注意点
株式市場で注目のあたることの多い高成長企業について、更に掘り下げてみます。高成長と思われている企業でも数年経つと実は高成長企業では無かったケースも数多く存在します。また、一時的な停滞期を挟みながらも高成長を続け、多くの人に知られる大企業となったケースも数多く存在します。そこを見分けることが出来ると素晴らしいのですが、なかなか上手くはいかないものです。それでも、いくつかの注意できる点はあります。これらを考えることで少しでも的中率が上昇するのではないかと考えています。
①参入障壁
成長企業は目立つので様々な企業が参入してきます。これはネットビジネスを見れば一目瞭然です。同じようなサービスを行っている企業がたくさんあります。すぐに過当競争になり利益を得にくくなります。一般的には急成長を続けることでマーケットを押さえてしまう戦略をとることが多いですが、それは他社も同じことを考えています。他社の参入に対抗する「何か」を持っているのかを検討することは大切です。
②マーケットの規模
成長を続けてゆくとマーケットの壁が見えてきます。これは急成長小売業で見ると理解しやすいです。初めはある地域で成功しますが、出店余地がなくなってきます。すると出店地域拡大を目指します。しかし、拡大を続けると何処かで出店余地がなくなってきます。しかも、最初の出店は好立地を吟味して出店しますが、次第に妥協した立地に出店せざるを得なくなります。出店を続けると自店内での競合も発生します。それを打開するために海外進出をしたり、別業態店を開発したりしますが、再度成功するかは別の問題です。成長企業が現在成長段階のどれぐらいの位置にいるのかを検討することは大切です。
③持続的成長を支える仕組み
成長するためには売上高を増やすことが必要です。製造業であれば製造工程の拡大が必要となり、物販業であれば出店が必要となります。サービス業の場合にはサービスを行う従業員の募集や教育が必要になります。収益を得るための投資が上手く出来ているかを検討することは大切です。
④独自性があるか
その成長企業には他社と異なる独自の特徴があるでしょうか。それはブランド、広告宣伝、商品の差別化、価格戦略などなど・・・様々なものが存在します。対象企業に「それ」があるか、そして「それ」は納得出来るものであるか。大切なポイントです。
「収益性」、「安定性」については次回で取り上げます。
投資用語解説 第1回 「分散投資」
一般的に分散投資の効用はリスク面をクローズアップして説明されていることが多いように感じています。筆者もググってみましたが、大半の説明が投資対象を分散させることでリスクが軽減することを説明されていました。最も著名な説明が「卵を1つのかごに盛るな」ですね。卵を盛ったかごを落としてしまうリスクを回避するため方法です。
見方を変えてリターンの側面から考えてみましょう。投資家Aさんは非常に勉強熱心な方で株式市場や投資理論・経済・産業・企業などにも見識の深い方だとします。必ずしも知識量が勝率を上げるとは限りませんが、努力が意味を持たないとする仮定は悲しすぎるため、一般的な投資家より勝率が高いと考えましょう。仮定として勝率60%だとします。それでも、1つの銘柄に投資した場合には残念な結果となってしまうかもしれません。10の銘柄に投資した場合は仮定した勝率60%に近づき、利益を得られる可能性が高まります。100の銘柄では、1000の銘柄では・・・。分散投資を行うほど仮定した勝率60%に近づくことは自明ですね(ネタ元は学校で習った「大数の法則」です。サイコロで実験しましたね)。ご自分の努力を実現させるためにも分散投資は有効なのです。ただ、リスク分散の場合と同様に、同じような企業に分散投資してもその効果は小さいことにご留意を。
執筆後記
第4回目は企業の評価について記載しました。改めて文字に起こすと、自分の記憶が忘却の彼方へ行っていることが判明しました。筆者的にも良い勉強になりました。長くなってしまったので1回で終わらせず、次回に継続します。次も読んでいただけると嬉しいです。
前回に引き続きテコ入れ策をやってしまいました。今回は新コーナーとして投資用語の説明コーナーを開設しました。どれぐらい続けられるか不明ですが、ネタが尽きるまで頑張ってみます。これに懲りずに、また読んでいただければ励みになります。おおよそ月に一度の発行スケジュールなので、次回もよろしくお願いします。
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