ベトナム現地情報2022年6月号より 企業紹介 PC1グループ
2022.06.20 (月)
PC1グループ(PC1:Y5639)
2018年5月~2022年5月 PC1グループ 株価推移
PC1グループは1963年に設立された電気設備工事会社の一社です。同社の主な事業は、送電設備工事、エネルギー投資、不動産投資、電設資材の4つです。
2022年第1四半期の売上高は前年同期比5%減の1兆4,780億ドンとなりました。部門別では中核事業である送電設備工事が前年同期比57%減の3,670億ドンとなりました。その一方でエネルギー投資が前年同期比299%増の4,570億ドンとなりました。同部門の売上が増加した背景には、昨年3つの風力発電の運用が開始されたことが挙げられます。同社が投資している電力は再生可能エネルギー(風力・水力)です。ベトナムは第8次電力計画で、再生可能エネルギーに力を入れていくとしています。また国内の電力需要は増加しており、主力の送電設備工事の需要も今後高まっていくでしょう。
基本データ (5月末時点)
売上高構成比
売上高・純利益
しっかり深掘り☞PC1グループ企業訪問
筆者は5月30日にPC1グループ(以下PC1)を企業訪問し、IR担当者から直接話を聞くことができました。
PC1は送電設備工事を手掛けており、国営電力企業であるEVNと密接な関係を築いています。しかし収益構造はEVNに依存しておらず、現在売上の50%はEVN以外から稼いでいます(さらに目先で60%まで高める予定)。2019年には設計から建設までを一貫して行うEPC事業を立ち上げ、翌年からEVN以外のプロジェクトを手掛けています。PC1はベトナムの電力市場は長期的に成長していくと考えています。
PC1は現時点で5兆5,000億ドンの受注残を抱えています。また同社は年間で6兆ドンの新規契約目標を掲げていますが、第1四半期に4兆5,000億ドンの新規契約を結んでおり、達成見込みとなっています。
足元の資源高は、PC1の業績に影響しないのか。同社は独自のアナリストチームを抱えており、ヘッジ戦略を立て資源高に適切に対処しています。さらに原材料をサプライヤーから直接購入することで原料コストを抑えています。
また送電設備工事に使われる建材もPC1は製造しています。他社にも販売しており、その生産能力は年間50,000トンを超え、ほぼフル稼働です。製品は日本や韓国といった海外にも輸出しています。
さらにエネルギ―投資事業は、7つの水力発電所と3つの風力発電所を抱えています。昨年商業運転が始まった風力発電プロジェクトはベトナム北部に位置しており、その発電需要は大きいです。また大雨が多いことから水力発電も高い稼働率が期待されます。そして2023年、2024年には新たな発電所プロジェクトが商業運転する予定です。
PC1は全国に事業拠点を持っています。世界市場にも進出しており、現在ASEANでトップ5の電気設備工事会社を目指しています。
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