アジア株週間トピックス 2022年4月11日号
2022.04.11 (月)
タイのインフレが顕著に
タイ2022年3月のCPI は前年同月比+5.73%に
タイは4月5日に3月のCPIを発表した。前月、2月の数字は+5.28%と、2008年以来の5%超えであったが、今回3月の数字は+5.73%と、前月を上回った。開示されている物価の内訳のなかで値上がりが大きいのは、1位:エネルギー32.4%、2位:生鮮食品等13.7%、3位:輸送11.3%と、エネルギー、食品の価格高騰がインフレ要因になっていることは明らかだ。元来、タイは資源輸入国であるため、エネルギー供給面で脆弱な構造を持っているほか、食品においても、小麦輸入のうち約3割をロシア産、ウクライナ産が占めており、輸入インフレのリスクを抱えている。当面、インフレ基調が続くとみてよいだろう。個人消費にどの程度影響を与えるか、今後のCPIの推移が注目される
中国の動向 は観光本格 回復の重石 に
インフレへの警戒が高まりつつあるなかで、タイは、昨年後半あたりから多くの他の国と同じく、ワクチン接種の進展を前提に、これまでの制限を緩和しつつある、「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」へ方針転換をしているといえる。今後の観光の回復が期待されるところだが、気になるのが中国の状況だ。もともと、2019年時点では、タイを訪れた観光客数、収入において、中国人関連が全体の約3割を占めるなど、中国はタイにとってお得意様であったからだ。しかし、直近の中国では感染者増が目立っており、3月には上海で都市封鎖措置が敷かれるなど、かなり警戒を強めている。2月には、タイと中国の間ので隔離制限なしの相互往来について検討を始めたが、事態悪化を受けて、当面先送りとなっている。観光客の多くを占めている欧州、ロシアからの需要も見込みにくく、タイ経緯、観光の本格回復には時間がかかると予想される。
今後の金融 政策にも注 目か?
政策金利は史上最低水準に据え置き
3月30日に、タイ中央銀行は金融政策委員会を行ない、15会合連続での政策金利据え置きを発表した。据え置かれた政策金利は0.5%で、他のアジア新興国と比較しても低い水準といえる。直近発表されているインフレの状況からみても、今後利上げに踏みきる可能性は高いと思われる。次のCPI発表は5月5日、金融政策委員会は6月8日実施が予定されている。今後のインフレの推移、金融政策が注目される。観光関連の当局の動向、金融政策に影響を受けそうな企業をリストアップしてみた。今後、政策の方向性がはっきりとしてくれば、これらの銘柄が最も影響を受けそうだ。
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