3分でわかる市場のしくみ SPAC 新しい上場のかたち
2020.08.11 (火)
IPOの新しい流れ、SPACとは?
IPO(新規株式公開)とは通常、ある企業が自身の株式を取引所に上場させ、投資家が自由に売買できるようにすることを指します。投資家は上場する企業の事業に魅力を感じて投資をおこなうわけですが、近年、そんなIPOのかたちは変わりつつあります。
今年6月、ビル・アックマンというある著名な投資家が、Pershing Square’s Tontine Holdingsという会社の上場により30億ドル(日本円で約3200億円ほど)を調達する計画を明らかにしました。
では一体どんな会社かというと、なんと“事業実態のないペーパー会社”なのです。
実はこうした空っぽの会社が上場するのは、アメリカでは珍しいことではありません。
こうした会社はSPACと呼ばれ、ひとつの会社の形として認められています。
SPACとは、”Special Purpose Acquisition Company”の略で、”特別買収目的会社”と訳されます。
“Special Purpose Acquisition Company” 特別買収目的会社
さてこのSPACですが、その会社としての目的は、その名の通り、”非上場の有望な会社を買収すること”のみです。
自身で何らかの事業を行うことはなく、上場時点ではどんな会社を買収するかも決まっていないケースがほとんどです。
ではなぜ投資家はそんな企業に投資するかというと、先述のアックマンのようなSPAC設立者の”プロの目利き”に期待しているからです。
買収が完了したら、その買収した企業の株式とSPAC株式との株式交換等が行われ、SPACの株式を持っていた投資家は、代わりに買収した企業の株式を手にすることになります。
将来有望な会社の株に交換されるなら、という期待を込めてSPACへ投資するのです。
買収される側にとっても、一般的なIPOと比べてコストや時間の面で楽に上場ができるので、元々上場を考えている会社であれば渡りに船、となります。
かつて日本でもSPACの上場に関して議論がなされましたが、上場審査の壁があり実現はしませんでした。
一方のアメリカでは、上場した企業に占めるSPACの割合は年々大きくなってきています。
直近では、電気自動車会社として有名な二コラもSPACを通じて上場を果たしています。
日々変化しているIPOの世界に注目です。
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