ゼロから学べるアイザワ投資大学

会員登録(無料)

記事検索

国内

2024年下半期IPOで初値買いが成功した3銘柄とは?

2025.01.28 (火)

日本株情報部長

河賀 宏明

2024年下半期IPOで初値買いが成功した3銘柄とは?

IPOでは公開価格で購入できる投資家は限られます。しかし、初値(上場後に最初に売買が成立した値段)で買うことはそれほど難しくありません。今回は2024年下半期(7月~12月)のIPOで初値買いが成功した(初値で買っても儲けが出ている)銘柄のうち初値比上昇率上位3銘柄を紹介したいと思います。

なお、ランキングは2025年1月15日の終値をもとに算出し、日足チャートは1月15日までのデータを反映しています。

初値比上昇率1位:Heartseed(219A)

1位は慶応義塾大学発の再生医療バイオベンチャーであるハートシードとなりました。ハートシードは、2024年7月30日に東京証券取引所グロース市場に上場。初値は1548円で2025年1月15日の終値は3575円と2.3倍になっています。
上場後の株価はもみ合いが続きます。変化が出たのは12月中旬からです。同社は12月12日に25.10期通期の営業損益予想を5.2億円の赤字(前期は10.4億円の赤字)にすると発表しました。開発スケジュールに基づき達成可能と見込むマイルストン収入をもとに、大幅増収を見込むとしています。
決算と併せて、「HS-001」のLAPiS試験の進ちょくも発表。2024年10月1日付リリース時点では、治験全体では6例(低用量群5例、高用量群1例)が投与されていました。その後進ちょくがあり、12月12日現在では治験全体9例目(高用量群では計4例)まで投与が完了し、残り1例となったとしました。
今期の営業赤字縮小と「HS-001」の治験の順調な進ちょくが好感され、株価は急騰。2000円の大台乗せとなりました。その後いったん落ち着いた動きとなりますが、年明けから上昇が加速し、3000円の大台乗せ。1月9日には上場来高値(2025年1月16日時点)となる3880円まで上昇しています。

初値比上昇率2位Terra Drone(278A)

2位はドローンベンチャーであるテラドローンとなりました。テラドローンは、2024年11月29日に東京証券取引所グロース市場に上場。初値は2162円で2025年1月15日の終値は3835円と77%高になっています。
上場2日目に2863円まで上値を伸ばしましたが、その後は軟調な展開が続きます。変化が出たのは12月中旬からです。同社は12月16日に25.1期3Q累計(2-10月)の連結営業損益は4.1億円の赤字だったと発表しました。
決算と併せて、世界的なドローン市場調査機関であるDrone Industry Insightsが発表した「ドローンサービス企業 世界ランキング2024」において、産業用ドローンサービス企業として世界1位を獲得したことも発表しました。
産業用ドローンサービス企業として世界1位を獲得したことが好感されたのか、赤字決算を発表し悪材料出尽くしとなったのか、この発表から株価は上昇トレンドとなります。12月25日に久しぶりに終値で初値を上回り、年明けに3000円の大台乗せ、その後も上昇が続いており、4000円の大台乗せも視野に入っています。

初値比上昇率3位 Schoo(264A)

3位は個人・法人向けにオンライン動画学習サービスを提供するスクーとなりました。スクーは、2024年10月22日に東京証券取引所グロース市場に上場。初値は761円で2025年1月15日の終値は1273円と67%高になっています。
上場直後は売りに押されたものの、すぐに上昇トレンドに転換。11月14日には、25.9期通期の営業利益予想は6.5億円(前期比5.6倍)と発表しました。大幅な増益予想が好感され、株価は一段高となり、1000円の大台乗せとなります。
その後IPOラッシュの影響を受けたのか12月後半に1000円を割り込む場面もみられました。しかし、年明けから再度上昇トレンドとなり、1月10日には上場来高値(2025年1月16日時点)となる1330円まで上昇しています。

まとめ

今回の上位3社は上場してからずっと株価が堅調だったわけではなく、初値を下回る場面がみられました。その後に決算発表などが好感され、水準を切り上げる展開となっています。
このような動きは評価の定まっていないIPOにありがちな動きです。もちろん決算発表などを受けてさらに下落する銘柄もありますが、チャンスを狙ってみるのもよいでしょう。上場前からしっかりと銘柄分析を行い、決算を受けてどちらに動くか、予想して投資する。これもIPO投資の醍醐味だと思います。

記事提供:DZHフィナンシャルリサーチ「いまから投資」(https://imakara.traders.co.jp/

ご留意事項

金融商品等の取引に関するリスクおよび留意点等

お客様にご負担いただく手数料について

免責事項

本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。

ライター

河賀 宏明

日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

合わせて読みたい

このカテゴリの他の記事

国内 日本株マーケットレポート 日銀金融政策決定会合は想定内もCPIの見通しはやや弱い

日本株マーケットレポート 日銀金融政策決定会合は想定内もCPIの見通しはやや弱い

2023.05.01 (月)

国内 日本株マーケットレポート 歴史的な円安 イールドカーブコントロールは維持できるのか?

日本株マーケットレポート 歴史的な円安 イールドカーブコントロールは維持できるのか?

2022.10.20 (木)

国内 日本株マーケットレポート 米国市場は反落 原油高、シカゴ日経平均先物は高い

日本株マーケットレポート 米国市場は反落 原油高、シカゴ日経平均先物は高い

2022.07.19 (火)

国内 日本株マーケットレポート 6 月の米FOMC で0.75%の利上げ

日本株マーケットレポート 6 月の米FOMC で0.75%の利上げ

2022.06.16 (木)

人気記事

アイザワ証券公式SNSアカウント