ベトナム現地情報2022年4月号より 駐在員の目 中立を保つベトナム、ロシアとの関係
2022.04.18 (月)
中立を保つベトナム、ロシアとの関係
現在も続くロシアのウクライナ侵攻ですが、現地にいるとベトナムの姿勢は日本や欧米のそれとは異なるように感じます。ベトナムはこの問題に対して慎重な態度を示しています。
例えば、先月3月に行われた国連総会のロシアに対する非難決議において、ベトナムはインド、中国と同じく棄権を表明しました。ベトナムが中立な立場を取る理由として、ロシアと旧ソ連時代からの緊密な繋がりがあります。
具体的にその結びつきを見ていくと
・人:旧ソ連への留学組(ベトナムのエリート層、ビングループ会長やベトジェットエア創業者も)、在露ベトナム人
・軍事:ベトナムへの武器供給(ベトナムで使われる武器の約80%がロシア製)
・経済:ロシア企業との油田・ガス田の開発、ベトナム資本によるロシアへの直接投資 といったことが挙げられます。
しかし貿易全体に占めるロシアの割合は低く(輸出入ともに全体の約1%)、ベトナム経済への直接の影響は軽微であると思われます。
今年1月にはベトナムも加盟するRCEPが発効されましたが、世界銀行の発表によれば、ベトナムは加盟国の中で最も貿易額・貿易黒字の伸びが予想されています。ロシア問題により、経済の分断が叫ばれますが、ベトナムは中立の立場でアフターコロナの恩恵を享受しようとしています。
2020年、ベトナムから海外への直接投資
サイゴン解放時に使われた旧ソ連製の戦車 (ベトナム軍事歴史博物館にて)
ベトナムと世界各国との貿易状況
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