ベトナム現地情報2023年7月号より マーケット概況 プレイバック・6月のベトナム市場
2023.07.31 (月)
プレイバック・6月のベトナム市場
6月のVN指数の推移
大型株に買い、株価の回復続く
先月に続き、2023年6月の株式市場も戻り相場となり、業種別では建設資材、化学、金融など14業種が上昇しました。流動性は高まっており、6月のホーチミン市場の1日当たりの平均売買代金は前月と比べて38%増加となりました。
ホーチミン市場の1日当たりの平均売買代金(月別)
中でも注目すべきは、第2四半期の決算発表シーズンを前に大型株の取引が活発になっている点です。VN30指数の6月の売買代金は前月比で71%増加し、他の指数(VN指数:+52%、VN中型株指数:+45%、VN小型株指数:+38%)を上回っており、決算内容次第でさらなる上昇が期待されるところです。国内の個人投資家が3か月連続で買い越し、外国人投資家は3か月連続で売り越しとなりましたが、売り越し額が前月から大きく減少し、投資家心理に改善傾向が見られます。
規模別株価指数の騰落率
景気対策
6月29日に発表された2023年第2四半期のGDP成長率は速報値で前年同期比4.14%増と、ウィズコロナ宣言後の2021年第4四半期以降で最も低い伸び率を記録した2023年第1四半期の前年同期比3.28%増から少し上向きとなりました。
サービス業がベトナム経済を牽引し、2023年第2四半期サービス業のGDP成長率は前年同期比6.11%増と工業・建設業(前年同期比:+2.50%)、農林水産業(同:+3.25%)を上回りました。しかし欧米の景気減速や北部を中心とした電力不足による計画停電の影響も見られ、工業・建設業においてGDPへの寄与度が大きい製造業(同:+1.18%)が冴えない結果となりました。
一方で建設(同:+7.05%)、水道(同:+6.14%)、電気・ガス(同:+3.70%)は、政府によって公共投資が促進されたこと、猛暑の影響による水需要や発電の増加により堅調な伸びを記録しました。政府はGDP成長率6.5%目標を掲げていますが目標達成が不透明となっています。
そのような中、ベトナム政府は現状を打開するために7月から半年間(日本の消費税に相当する)付加価値税の税率引き下げや、国産車の新規登録料を50%割引するなど景気対策を打ち出してきました。中央銀行も今年3月からリファイナンスレートの引下げを3回実施しています。
選り抜き!直近のトピック
再び利下げ
ベトナム中央銀行は6月16日に今年3回目の利下げを発表しました。国内のインフレが抑えられている中、金利を引き下げることで企業の資金調達を支援、景気を下支えする方針です。
■4回目の利下げを決めたベトナム中央銀行
電力不足は解消へ
7月4日、ベトナム商工省は「北部地域が今年残りの期間に電力不足に見舞われることはない」との見通しを発表しました。ベトナムでは5月、6月に猛暑による深刻な電力不足が発生、雨の降らない時期が続き、水力発電所では水位が低下、計画停電が行われました。しかし6月下旬にかけて大雨が降ったことで発電に必要なダムの水量が増え、電力不足の解決に糸口が見えた形となりました。
ハノイ市・ハドン地区の2022年1月以降の平均気温と降水量
アルミニウム埋蔵量、世界2位の底力
米国地質研究所の2023年の報告書によると、ベトナムは世界で2番目のボーキサイト鉱石の埋蔵量(58億トン)を誇ります。アボーキサイト鉱石はアルミニウムの原料として有名で輸送機器や建築材料、モバイル家電など幅広い分野で使われています。しかし国内での加工力に乏しいため、原料を輸出し、製品を輸入しています。そのような中で国内初のアルミニウム製錬工場が建設中であり、2024年から生産が開始される予定です。これに付加価値の高い工業製品の開発・生産を目指す政府目標にとってプラスに働くと考えています。
外国人観光客数、上期におよそ560万人
国家統計局の調査によると、2023年上期のベトナムを訪れた外国人観光客数は約560万人と前年同期比で9.6倍の増加となりました。しかしコロナ前の2019年と比べるとおよそ6割にとどまっています。
地域別ではアジアからの観光客が419.1万人と最も多く、ヨーロッパの69.5万人、アメリカの47.3万人がそれに続きました。政府は今年800万人を目標に掲げており、上半期でその達成率は70%と上々の滑り出しとなっています。さらに中国との国境が再開したことで、コロナ前にベトナムを訪問する外国人観光客の3分の1を占めた同国から観光客増加による目標数字の押し上げが期待されるところです。
■中国の国境・東興口岸、ベトナムのクアンニン省・モンカイと接する
マーケットデータ
5月の業種別騰落率
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